第5章 契約
第84話 あなたを……愛している
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ロの龍の姿に変えられると言う物も存在しています。
つまり、このアンドバリの指輪自体が初めから龍気を秘めたアイテムだったのか、……は判りませんが。
どちらにしても、俺の龍気を受けて、この指輪に籠められて居た力が活性化された事は間違いないでしょう。
俺の右手の手の平に乗せられた指輪をじっと見つめ、ひとつ小さく首肯く湖の乙女。
そして、
「これ以上、ここに留まれば、あなたの身に非常に危険な事態が発生する可能性が高い。ここ……ガリアより離れて、何処か遠くの国に退避する事を推奨する」
口調も表情も普段のままに、ゆっくりと……。そして、小さな声でそう言った。
但し、彼女が今、発して居る雰囲気は普段通りの彼女ではなかった。
「確かに、一考に値する申し出やな」
最初にそう答えて置く俺。それに、彼女の言葉は真実でしょう。
北欧神話に残されるアンドヴァラナウトの指輪と、俺の右手の手の平の上に存在する蒼い指輪が同じ物ならば、それには呪いが籠められて居ます。
それに、例えそんな伝承が無くても、強い魔力を帯びたアイテムの多くは、その持ち主に不幸を呼び込む事と成る物ですから……。
しかし、俺が其処から先の台詞を口にする前に、彼女の方が口を開く。
「あなたが一度約束した事を守ろうとする事は知って居る。でも……」
彼女がゆっくりと、まるで言葉を選ぶかのようにゆっくりと話し始めた。
その瞬間、彼女の顔の一部と化した銀のフレームが冷たく光り、その色に相応しい強い眼差しが、真っ直ぐに俺の瞳を見つめ続ける。
「あなたは、わたしとの約束を果たさなかった事が一度だけ存在していた」
俺が彼女との約束を果たさなかった事……。
俄かには思い出せない話。ただ、彼女がウソを言うとも思えませんし、単に俺が忘れて仕舞い、約束を果たす事が出来なかった事が有ると言う事なのでしょう。
「そうか。それはすまなんだな。流石にゲッシュを立てて居る訳ではないから、それによって死を賜ると言う訳ではないけど、それでも、漢が一度交わした約束を違える事は問題が有るな」
それなら、もう一度、その約束を交わせば良いだけでしょう。少なくとも、一度の失敗ですべてを失うような重要な約束を忘れたとは思えませんでしたから。
そう考え、軽い気持ちで言葉を返す俺。
しかし、哀しげな。何時もと同じ表情なのに、何故か哀しげな表情と感じるその表情で俺を見つめた後に、彼女は二度、首を横に振った。
これは間違いなく否定。それ程、重要な約束を俺は果たさなかったと言う事。
そうして、
「あの最後の日。あなたがわたしの元から出掛けて行く時に交わした約束。必ず帰って来る、と言う約束は……」
わたしの望
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