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ストライク・ザ・ブラッド〜魔界城の主〜
01:その青年、暁魔城
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らまだしも、民間の方々に被害が出たらどうするつもりだったんですか」

 青年の眼が、真紅に染まる。きれいな歯並びの中に、小さい牙があるのが確認できる。

「そのリング……登録魔族?それにその牙、その眼……そうか……テメェ、吸血鬼!」
「ご名答です」

 にっこり、と吸血鬼の青年が笑う。しかし、テロリストたちは余計に余裕を失ったようであった。あわててマシンガンの弾丸を別のものに交換する。恐らく、吸血鬼に効果があると言われている魔導弾にしたのだろう。そしてそれを構え、乱射する。しかし――――

「残念」

 魔導弾たちは、全て青年の障壁に阻まれて落下した。一つたりとも青年に、そしてその後ろの住民たちには当たっていない。

「うそだろ……」
「何でだよ!この弾、吸血鬼に効くんじゃなかったのかよ!」

 口々に喚くテロリストの男たち。毒づきながら、しかし諦め悪く次の弾を装填し――――

「……下がっていろ」

 何者かの声に、はじかれたように振り向いた。

 声の方向から、一人の男が歩いてくる。黒いロングコートと帽子を身に付けた男だ。銀色の長い髪をなびかせている。纏っている雰囲気は、明らかに人間の物ではない。未登録魔族――――

「……あなたが親玉ですか?」
「いかにも。俺は《アルディギア解放軍》頭領、ジルクニフ・アーダー。王朝の支配に抗う者だ」
「何故アルディギア王朝に対抗するのですか?この国は魔族にとっても優しいでしょ?」
「……優しい程度では駄目なのだ。俺達がこの国を支配し、魔族の王国をつくる!そしていつかは《夜の帝国(ドミニオン)》の蝙蝠共も蹴散らし、世界の王に――――」

 ああ、なるほど。と青年がため息をつく。

「まだ湧くんですねぇ、その考えの人。一時前によくいましたよね〜、自分が世界の王になるんだ〜とか言う獣人……たしか……そう、《黒死皇》。もしかしてあなたもその一派だった口ですか?」
「ほぅ……見る目はあるようだな、蝙蝠。いかにも。俺はかつての《黒死皇派》の一員。だが俺は奴らほど獣人至上でもないのでね。……どうだ。貴様も俺と組まないか。俺と組めば、世界の王になった時によい地位を与えてやろう」
「お断りします」

 今までの優しげな雰囲気は一瞬で掻き消えた。青年の表情が険しいものに変わる。ジルクニフがそれを受けて、む、と顔をしかめた。

「僕にはすでに愛する王女様がいるのでね。彼女を裏切るわけにはいかないんですよ。……だから彼女の国も守らせてもらいます。ここであなたを捕まえれば、《アルディギア解放軍》は掻き消えるんでしょう?」
「ほぅ……なるほど。その口調、貴様、アルディギア王朝が飼っているという吸血鬼だな?面白い!やって見せろ、蝙蝠(ヴァンパイア)!!」

 バクン
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