第六話
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でリーラを掻き立てるのかがわからなかった。
「お慕いしているからです」
「それはどうして? ガスマスク被ってる変人だよ? どこに慕う要素があるのさ」
リーラもあのメイドのように雰囲気とかいうのだろうか。
どんな返事が返ってくるのか待っていると、薄ピンク色の可愛らしい唇が開いた。
「……わたくしは、式森様のお顔を見たことがあります」
「…………え?」
「それだけではありません。たった一度だけではありますが式森様とお会いしたこともございます。式森様は覚えていらっしゃらないと思いますが」
「え、え?」
俺の顔を見たことがある?
俺と会ったことがある?
なんだ、どういうことだ……!?
「わたくしは、ここにいる誰よりも貴方を知り、貴方を強く想っている自負がございます」
「それはどういう――」
ことなんだ、と言葉を続けようとして、ガスマスクの口に相当する部分に指を当てられた。
思わず言葉を切ってしまった俺にふと微笑む。
「式森様がわたくしのご主人様になられた後にでも、お話いたします。それまでお待ちください」
「………………わかった」
疑問は尽きない。けれど、リーラがそういうならきっと語ってくれるだろう。
彼女は嘘をつくような人じゃないから。
――あれ? 俺、踏ん切りがついてる?
「それでどうでしょうか」
「――?」
「わたくしは、ご主人様の目にどう映りますか?」
ああ、そうだった。そんな話をしていたんだった。
しかし、どう映ると言われても、そりゃあ……。
「魅力的かな」
「魅力的、ですか?」
「うん、魅力的……なにより、綺麗だ」
ここまで綺麗な人は見たことがない。
リーラは「魅力的……綺麗……」と口の中で言葉を転がすと、嬉しそうに微笑んだ。
その綺麗な微笑みにドキッとする。
「式森様」
「……う? え、あ、なにっ?」
「わたくしを奪ってください」
「奪って……奪ってッ!?」
奪ってというと、あれだろうか。というか、今更ながらこの体勢は色々とやばすぎる。今の台詞を聞いた後だと特に!
もう俺の頭はキャパシティオーバーだ。本当にくらくらしてきた。
しかし、リーラは真剣な顔で追撃を仕掛けてきた。
「強引でもかまいません。わたくしをものにしてください。わたくしを奪っていただければ主人としての風格が身につきます。今のご主人様もそうして気持ちを吹っ切られました」
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