第六話
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ころ、降り掛かる困難を自力で切り開くところなど、昔の自分の生き写しだと仰っていました」
「そうなんだ」
「今のご主人様はお父上からメイドを受け継いだのですが、やはり式森様のように拒んだそうです。自分の意思が介入しない取り決めに反抗していたのでしょう」
「……」
確かにそれだけ聞くと俺たちは似ているかもしれない。
けれど、決定的に違う点が一つだけある。
俺自信の心はすでに――。
「わたくしはおりませんでしたが、ご主人様も誓約をされる寸前まで非常に煮え切らないところがございました。ですが、いざ式に臨むと、それはもう堂々としたお姿で一同感服したそうです」
「そっか」
「はい。それで、ですね」
それまで流暢に語っていたリーラの表情に波紋が生じた。
「ご主人様はあることをして、お気持ちを吹っ切ることが出来ました」
「あること?」
「はい……欲望を、解放することです」
「欲望……え?」
心なしか頬を染めているリーラ。その姿からこの欲望がなにを示唆しているのかが窺えた。
「式森様は、私を女としてどう思われますか?」
――ちょ、いきなりそれ聞いちゃう!?
急激に顔に熱が帯びる。ガスマスクからでは判らないだろうが、顔から湯気が出る勢いだ。
急激な視界の反転。
一瞬の隙を突かれた俺は気がつけば背後にあるベッド両手をついていた。
リーラが脚を引っ掛け誘導したのだ。俺の下には押し倒された格好のリーラがいる。
するっと、首に腕を回してきた。
「り、リーラ?」
「式森様」
ぐぐっと腕に力が篭められ顔を引き寄せられる。
「わたくしは……わたくしたち一同は式森様が次期主人なることに望外の喜びを感じています」
「そう、なんだ」
「ですが、式森様はまだ主人としてのお顔をされていらっしゃらない。とても悲しく思います」
「いや、顔見れないでしょ」
「ご主人様は私たちの上に立ちメイドを従える存在なのです。上の立場にならなければなりません。式森様はわたくしたちメイドにも分け隔てなく接し対等な態度をとられます。それはよいことではありますが、主人としての姿勢ではありません」
「うーん、言っていることはわかるんだけどね……」
「いけません、そのようでは。式森様にはご主人様になっていただくのです」
「……リーラは、そうまでして何で俺に主人になってほしいの?」
リーラの俺に向ける熱意は他のメイドたちと一線を画していると思う。
何がそこま
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