第六話
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『式森の恥さらしが!』
『こんな子は私たちの子じゃないっ』
初めてそう言われたのはいつの頃だったか。
この頃の俺は、両親に愛されているのだと盲信していた……。
『魔力だけの出来損ない』
『魔力タンク』
『一族の恥さらし』
多くの罵倒が俺を罵った。
生まれ持った魔力だけが取り柄の存在。由緒ある式森家の『恥』。
それが、当時の俺だった。
罵倒されない日はなかった。
分家の人間に虐められない日はなかった。
涙を流さない日はなかった。
それでも、俺は自分の『存在意義』を見出そうと必死に足掻いた。
魔法使用限度回数、七回。
それは魔法使いにとって絶望的な数字であり、多くの偉人を輩出した名門の式森一族にとっては『ありえない』数字。
その結果、俺は魔力だけが取り柄の存在として認知され、一族の恥さらしとして見做された。
魔力回数が発覚してからは、両親から一度として名前を呼ばれたことがない。
皆が皆、俺を侮蔑の眼差しを向けてくる。
――僕はなんで、生まれてきたんだろう……。
誰も僕を見てくれない。
ここでの生活は、まるで常闇のような粘つくもやっとしたものが僕を包み、頑丈な重たい鎖が四肢に絡んで離れないようだ。
誰か、僕を見て――。
僕はここにいるよ――。
『和樹』は活きてるよ――。
誰か――……。
「――様…………もり様……」
「……ぅ、ん……」
「式森様……!」
俺の名を呼ぶ声に意識が浮上する。
目を開けると、すぐそばにリーラの姿があった。まるで病人の看病をするかのようにベッドの縁で身を屈めこちらをのぞきこんでいる。
あまり冷静な表情を崩さないイメージがあるリーラは珍しく眉をハの字にして、心配そうな眼差しを送っていた。
「大丈夫ですか? お加減が優れませんか?」
「え? いや、特に変わりないけど」
「ですが、悲しんで居られます……」
「悲しむ?」
ふと、目元が濡れていることに気がついた。
涙?
「なんで、そう思うの?」
「そう感じました。式森様のお顔は拝見できませんが、悲しんでいらっしゃると」
なにそれ、すごい。
「夢見が悪かったのですか?」
「なの、かな? 覚えてないからよくわからないけど……」
何を思ったのか、リーラは失礼しますと一言断ると、頭を撫でてきた。
いきなりの行動に
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