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少年は魔人になるようです
第85話 闇と影は誰もが持つようです
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』、そんな事を言うと創造主猊下に拳骨を頂きますよ?」

「・・・今のは無しだ、忘れてくれ。」
シュタッ
「どぉも〜〜フェイトはん、ご報告ですぅ。」


ヴァナミスと戯れていると、背後に影の様に少々派手な女の子が現れる。

京都に居た時にお手伝いをして貰った月詠君だ。僕らは気に食わない所が多い子だけれど、その狂性と

可愛らしさがシュウマとノワールさんの目に留まり、こうして隠密に雇っている。


「お姫様は相変わらず行方不明、面倒そうなのは二人。他の行方不明者を探して世界中徘徊しとります。

あ!あとあと、センパイはなんや変なおじさんと徒歩でここに向かっとります。」

「・・・そう、ご苦労様。監視を続けて。」

「はぁぁん、監視だけなんて殺生やわぁ〜。いつんなったら死合れるんですかぁ〜?

ノワールはんも結局、どっか行ってまうしぃ〜〜!」

「・・・もう少し我慢して、月詠君。」


二人が目をかけただけあって、裏表、仕事を問わず優秀な子なんだけれど・・・この戦闘狂な所が

問題なんだよね。今は偶に悪魔達を斬らせて我慢させているけれど、そろそろ限界かな。


「せや、フェイトはん。ネギ君の事ですけど。」

「・・・・・・彼が、何?」

「未確認ですが、彼のお仲間が話しとって……。かつての英雄、紅き翼のラカンとか言う人に弟子入りしたとか。」

「ラカン……?"千の刃"か。他の者が生きていたから、まさかとは思ったが。」

「あの野蛮な筋肉達磨君が師匠とは。実戦経験を積むにはちょうど良い相手、と言う事でしょうかね。

いやはや、猊下に稽古をつけて貰っていたと言うのに、嘆かわしい……。」


月詠君が捕捉と言わんばかりに付け加えた話が、一番僕らの耳をそばだたせる。

成程、あの男か。ナギやアルビレオと違い努力タイプの人間だ。今の彼にはうってつけだろう。


「楽しげやけど、ええんですか?ネギ君このままやと……。」

「いいよ。全てが順調な今、彼の存在は僕らにとって、唯一の楽しみだからね。」
ズシン! ズゥン!
「おや、野生の黒竜種ですか。」


少々殺気が漏れた所へ、片角の黒竜が二頭降り立つ。お腹が減っているのかな?

それとも片角を折られて気が立っているのか・・・。まぁいずれにせよ。


パラパラパラ―――
「次に会う時が楽しみだよ。」


無詠唱で放った石の隆起によって、一頭を永久石化させる。

そう、彼は面白い。シュウマが異常に気に入っていると言うのもあるけれど、会う度に強くなっているし、

その思考が、それなりに長い時を生きて来た僕にとっても、初めての相手だ。

・・・あ、そう言えばもう一頭は―――

ブチッ! ビュ
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