11『錬金釜』
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な……」
「んで?取りに行くのか?」
「当然だ」
ヘルメスはメニューウィンドウを操作すると、黒銀色のコートを装備する。ヘルメスの装備の中で、数少ない《錬成アイテム》ではないアイテム。《コート・オブ・メタル》と言う名のこの装備は、地味な名前の割に、HPの現象値を大幅に下げることに加えて、ダメージ毒及び麻痺毒耐性を強化してくれる優れものだ。さらにアイテムウィンドウを操作し、現在所持している錬成武器の中で最も強力なものを取り出す。白銀の刀身に、ところどころに掘り込まれた黒いラインが映える片手用長剣。錬成武器のために固有名詞はないが、かなり強力な武器だ。
特殊な効果はない。代わりに、《魔剣》もかくやと言うばかりの強度・切れ味を有する。一か月前に竜使いの少女と共に、犯罪者たちを撃退した時に使っていた剣をさらに強化したものだ。
《錬金術》スキルは、現実世界の錬金術と違って《限り》がある。スキル熟練度やレベルをシステムが計算して、どれだけの強さのアイテムを作れるか、素材にできるか、という物が決定されるのだ。この剣は現在ヘルメスが作成できる武器アイテムの中で最上位の強さを持っていると同時に、ランクも最上位の物だ。
ヘルメスのレベルは現在86。それに対して、武器の装備適正レベルは85。装備できるようになったのは実はつい最近のことなのだ。
「それで?そのNPC露天商、っていうのはどこにあるんだ?」
「おう。二十七層のフィールドに、《パンプキンフォート》っていうダンジョンあるの知ってるだろ?」
「ああ……あのハロウィンにイベントボスが出た奴か」
「それそれ」
アインクラッド第二十七層は、夜の精霊の町、と言う設定だ。そのせいなのか、ハロウィンを始めとする精霊や魔女などに関連するイベントが多いし、モンスターも妖精や幽霊、ガーゴイルなどが大半を占めている。
ダンジョン《南瓜の要塞》は、出現するモンスター全てがカボチャ型のマスクを着装した、コミカルなダンジョンだ。2023年10月31日に行われたイベントボス攻略戦のときには、フロアボスに迫るであろうかと言うほどの超巨大なカボチャオバケが登場し、プレイヤー達の度肝を(いろんな意味で)抜いた。
「そのダンジョンの近くにさ、小さい《圏外村》があったの覚えてるか?」
「ああ……そう言えばあったな。たしかダンジョン攻略前の休憩スポットになったんだったか……もしかしてそこに?」
「ああ。《錬金釜》、だっけか?とりあえずそいつが売られてるらしい」
《圏外村》、と言うのは、文字通り《圏外》の村だ。何の圏外なのか、と言うと、それは《犯罪防止コード》と言う、いわばSAOの安全を守るシステムのだ。
《犯罪防止コード》は、主街区
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