11『錬金釜』
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に、一度戦闘を見た限りでは相当の使い手である。防御力に秀でるモンスターを、槍使いと言うダメージディーラーには向かない職業で難なくソロ撃破してしまったのだ。あれほどの使い手が、どこのギルドにも所属せずに残っているという事は非常に珍しい。《聖竜連合》あたりが勧誘をしていてもおかしくはない強さなのだが――――
とにかく、イゾルトのことを考えるのはやめにした。今日は何のネタを持ってきたのか聞くことにする。
「……ハァ。何の用だ。わざわざこんなところまで来るくらいだ。何かあるんだろう?」
「おう。錬金術のにいい知らせ……なのか?まぁいいや。ともかく知らせだ」
「俺に?」
おう、とイゾルトが頷く。
「第二十七層……ってこの階層か。ともかく、そこで、ヘンなアイテムが見つかったらしい」
「変なアイテム?」
「ああ。鍋と釜のあいのこみたいなやつでな。何と喋るらしい」
「――――《錬金釜》か!」
《錬金釜》。それは、アインクラッドには、ひいては《ソードアート・オンライン》には存在しないはずアイテムだ。現実世界で、ヘルメスの戸籍上の曾祖父である化け物ジジイ率いるトリメギストス家は、いくつかの《錬金釜》を保有していた。《錬金釜》は、使い手の錬金術の能力を強化し、時として使い手が錬成できるものの限界を超越する。《錬金釜》は一種の付喪神的要素があり、内部に存在する霊体が喋る。化け物ジジイが保有する《錬金釜》に憑いている魔人は、仙人のような気質の知識人だったはずだ。ヘルメスは化け物ジジイが嫌いだが、あのジンは好きだった覚えがある。もっとも、最後にあったのは三年ほど前のことなのだが……。
しかしなぜ《錬金釜》がこの世界に存在するのだろうか。ヘルメスの《錬金術》が、普通のエクストラスキルならまだわかる。しかし、このスキルは茅場晶彦直々に作り出した、いわば《改造データ》の様なものなのだ。《錬金釜》が《錬金術》の専用アイテムなのであれば、ヘルメスの専用アイテムとして渡されていたはず……。
兎にも角にも、《錬金釜》は現実世界では駆け出し落ちこぼれ錬金術師だったヘルメスにとっては憧れのアイテムである。義兄すら《錬金釜》は保有していなかったので、それを所持することには言い得ない憧憬が存在する。
「……そいつは、どうやって獲得するんだ?」
「おっ、興味出たか?よぅし。それじゃぁお兄さんが説明してあげよう」
「てっとり早く頼むぞ」
「……冷たいなぁ」
イゾルトが語るところによると、アインクラッド第二十七層のNPC露天商で受けられるクエストで、《錬金釜》を獲得することができるらしい。しかしクエストのクリア条件が非常に厳しく、いまだ誰一人としてクリアできていないらしい。
「なるほど
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