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大往生
第一章
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だった。
「癌は辛いぜ」
「昔だったら梅毒とか結核とかえげつないだろ」
「ああ、ああいう病気って相当えげつなかったらしいな」
「今だとエボラか?」
 話題の伝染病の話にもなった。
「ああした病気にかかって死ぬのはな。やっぱりな」
「勘弁して欲しいよな」
「苦しみ抜いて死ぬ病気はな」
「それはな。俺だってそうだしな」
 朋英は皆の話を聞いてあらためて言った。
「そうした死に方はな。苦しまず、奇麗に死にたいよな」
「それで他人様に迷惑かけずにな」
「そういう死に方がいいよな」
 そういう話になっていく。とにかく苦しまずに死体も奇麗であってしかも誰にも迷惑はかけない、そういう死に方がいいのだと言うのだった。
「だからな。いい死に方っていうのはな」
「本当に少ないよな」
 皆箸を止めて腕を組んで考える顔になったのだった。
「何があるんだ?本当に」
「いい死に方って」
「俺、死ぬのなら苦しまずに死にたいな」
 朋英はここではじめて自分の考えを口にしてきた。

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