As 06 「大切な少女」
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なったか?」
「嫌いになるわけないやん。そもそも……迷惑かけた回数が違うやろ。……ショウくんの方こそ、わたしのこと嫌いになったことあるんやない?」
ふたりっきりになったからか、先ほどと違って弱気というかマイナス方向の発言をしてきた。
一般的にはネガティブになっていて悪いと思うかもしれないが、本音を隠してしまう彼女にはプラスだろうとマイナスだろうと言葉にさせることが大事だろう。
「ない」
「本当に?」
「本当に」
「……こういう状況やからって嘘ついたりしてへん?」
「今日はえらく弱気っていうかネガティブだな」
はやてが隣に来てほしそうだったこともあって、俺は笑顔を浮かべながら返事を返すと彼女の隣に座った。すると彼女は俺の肩に頭を乗せながら寄りかかってくる。これまでならば、重いなどと言って適当な会話が始まっていただろう。
シグナム達の前では笑ってたけど、本当は不安なんだよな。そのうえ入院するから、ひとりでいる時間が多くなる。こうやって甘えてきてるのも、寂しいからだろうな。
そう思う一方で、はやては強い子だと思った。我侭というか本音が言えない性格をしているのもあるが、そうだとしても今のような状況で心配をかけたくないからと笑ったり普通はできない。もし俺が彼女の立場だったならば、周囲に八つ当たりをしているかもしれない。
はやてに対して愛おしさや尊敬を抱いた俺は、彼女が自分から離れるまで現状のまま会話をすることにした。
「……手、握るか?」
「……うん」
はやての手の上にかざすと、彼女はそっと握る。彼女の握る力や位置が原因で微妙な感覚を覚えてしまった俺は、位置だけでも変えようと手を動かそうとした。それを手を放すと勘違いしたのか、彼女は握る力を強める。
手から伝わってくる力の強さがはやての気持ちを代弁しているようだった。俺は彼女と同じくらいの強さで握り返す。
「……できるだけ会いに来るから」
「ありがとう……でも、わたしは平気や」
「そっか。でも……俺が会いたいんだ。ダメか?」
「ううん…………ダメや……ないよ」
はやてが言い終わっても返事をしなかった。その変わりに取った行動は、すすり泣き始めた彼女の顔を見ないようにしながら握る力を強めた彼女の手を握り返すだけ。
「……ごめん……ごめんな」
「何に謝ってるんだよ?」
「だって……わたし……」
「いいんだ……迷惑かけていいんだよ」
はやては辛いことや苦しいことを、何でもかんでもひとりで抱え込もうとする。人に迷惑になることはなおさら……。抱え込んでしまわれるよりも、迷惑なことだろうと言ってほしい。それは俺だけでなくシグナム達も望んでいるはずだ。
「俺はお前のことを絶対に嫌いになったりしない。それはシグナム達もきっと
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