As 05 「成長と嫉妬」
[6/7]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
気合と共に最上段から振り下ろされた攻撃は、左手に持たれていた鞘によって防がれた。俺もシグナムのように鞘を持っているが、彼女のような行動はできないだろう。俺と彼女とでは技術に差がありすぎる。
一瞬の拮抗の後、シグナムは鎌を強引に弾いてテスタロッサを呼び込むと、彼女の懐に蹴りを入れた。テスタロッサはすぐさま体勢を立て直したものの、シグナムはすでに刀身を戻し終えている。
「はあぁッ!」
「でやぁッ!」
気合と魔力の乗った一撃が衝突し、魔法同士の衝突に負けないほどの衝撃が生じる。それによって、周辺のビルの窓ガラスが次々に割れた。
「…………ふむ。先日とはまるで別人だな。相当鍛えてきたか……前回は動揺がひどすぎたか?」
「ありがとうございます。今日は落ち着いてますし、剣を扱う子とも特訓してきました」
「なるほど……ヴォルケンリッターが将、シグナムだ。お前は?」
「ぇ……フェ、フェイト・テスタロッサです」
「テスタロッサか……こんな状態でなければ心躍る戦いだっただろうが、今はそうも言ってられん」
シグナムは剣を鞘に納めながら左腰付近に引き付ける。抜刀術で用いられそうな構えだ。
「殺さずに済ませられる自信はない……この身の未熟を許してくれるか?」
「構いません。勝つの……私ですから」
テスタロッサは怯えるどころか、強気な笑みを浮かべてみせた。
本当にこの前とは別人だ。先日と違って動揺がないのも理由なのだろうが、何が彼女をあそこまで強気にするのだろう。
カートリッジシステムの搭載によって戦闘力の差が埋まったから……ってのもあるんだろうけど、それは理由のひとつでしかないよな。特訓したってのもあるだろうけど、シグナムとの技術差が完全に埋まるはずもない。
〔マスター……大丈夫?〕
〔……大丈夫って、俺は戦ってないだろ〕
ファラは何を当たり前のことを聞いてきているのだろう……いや、本当は彼女が何を言いたいのか分かっている。
人は見た目や性格、才能に至るまで違う。俺にできることを高町達ができなかったりするだろうし。高町達ができることを俺はできなかったりするだろう。こんな当たり前のことは、きちんと理解している。
だがそれでも……あの子達の成長速度は異常だ。才能の違いもあるだろうが、それだけではあの速度は説明がつかない気がする。いったい俺と何が違うんだ……。
他人に嫉妬めいた感情を抱くことなんて、両親を亡くしたばかりの時期くらいしかなかった。今それを抱いてしまっているのは、俺が強くなりたいと思ってしまったからなのか。思ってしまったばかりに、自分の無力さを感じてしまっているのか。
そんなことを考えているときだった。
眩い光が戦場を走る。視界はゼロになり回復したときには、シグナム達
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ