As 05 「成長と嫉妬」
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に剣を抜こうとはしていない。話に応じるようなので、俺は剣の柄に手をかけた状態で周囲を警戒することにした。
「あなた達は闇の書をどうするつもりで蒐集を続けてるの?」
それは、はやてを助けたいから。
リンディさんの問いに対する答えはこの一言に尽きる。だがそれを言うほど、俺もシグナムも愚かではない。シグナムは刹那の間の後、はっきりとした口調で言った。
「我らには、我らの目的と理由があります。あなたに答える理由もない」
「……私が11年前、暴走した闇の書に家族を殺された人間だとしても?」
先ほどよりも少し低めに発せられた言葉に、シグナムの表情が崩れた。彼女を見つめるリンディさんの瞳には、普段は見られない憎しみのような色が見える気がする。
俺はふと前にクロノが父親を亡くしたと言ってたのを思い出した。
クロノが普段と違って必死そうだったのと、リンディさんの瞳に負の感情が見えるのはそういう理由か。だが……それだとシグナム達が仇だということになる。彼女達が人を殺すような真似をするのか?
疑問が脳裏を過ぎるが、クロノから聞いたことの中には過去のある例とは少し変わっている点があるという話もあった。
11年前ということは、俺やはやては生まれていない。シグナム達がはやてと出会ったのは、おそらく今年の夏。過去のシグナム達が今の彼女達のような人柄だったのかは、俺には分からない。主次第では別人のような性格をしていたかもしれない。
「うらあぁぁぁッ!」
緊張感のある静寂を破ったのは少女の声。次の瞬間には、俺達のいたビルに放たれた鉄球が直撃していた。
「シグナム、何ぼぅーとしてやがる!」
「あ、あぁすまない」
声から予想していたとおり、攻撃を仕掛けてきたのはヴィータだったようだ。俺とリンディさんは、煙の中を突っ切って向かい側のビルに着地。
リンディさんは、これ以上の会話は不可能だと判断したのかデバイスを起動させた。白銀の杖が彼女の手の中に現れる。俺も抜剣して構えを取った。
周囲を見渡してみると、シグナムやヴィータの他にもザフィーラと思われる男性の姿が確認できる。
頭数ではこちらが不利。またあちらは全員、一流の腕を持った騎士達だ。たとえ俺が本気で戦闘したとしても、勝てる可能性の高い相手はいない。
「これは……ちょっとやばいかしら」
「ちょっと……じゃないと思うんですけど」
ぼそりと呟かれた独り言に返事をしたそのとき――結界上空に転移反応が現れた。
突如出現したふたつの反応は結界を突き破る。桃色と金色の閃光は螺旋を描きながら地面へと落ちて行った。
舞い上がった土煙が晴れるのと同時に姿を見せたのは、強い意志を瞳に宿したふたりの少女。少女達の手には、前と形状が異なっているパートナー達の
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