第四章
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第四章
「俺はまっちゃんに惚れたよ。任せておきな」
「有り難うございます」
こうして彼はマネージャーに仕事を次から次に貰えるようになった。既に下地がありそれは彼が作っていたからだった。そして実際に彼は売れっ子になり役者としてもお笑い芸人としても茶の間の人気者になった。意外にもお笑いの才能も役者としての才能も開化したけしやさんまの如き存在になろうとしていた。
そして鳥越であるが。若くしてテレビ局の重役になっていた。それ以外にも株等で桁外れの収入が得られるようになっており何もかもが満ち足りた生活を送っていた。まさに王国貴族だった。
彼は今日も自分の報道番組で言っていた。相変わらずの口調で。
「何が国民の為ですか」
居丈高に言うのだった。
「何か。これって金持ちの為ですよね」
「そうですよね」
一緒に出ている新聞社の編集委員も彼の言葉に頷く。
「これってまさにそうですよね」
「ふざけるなっていうんですよ」
怒ったように言う。
「この国はどうなっていくんですか。こんな恥知らずな政治家や官僚ばかりで」
「ですよねえ、全く」
テレビでは相変わらず彼は注目されていた。しかしその注目のされ方がこれまでとは違ってきていた。視聴者達は彼の顔を見て思うのだった。
「何か鳥越の顔ってさ」
「ああ、変わったよな」
「かなり変わったよな」
皆そのことに気付きだしていたのだ。
「凄い卑しくなってない?」
「偉そうになってるよね」
「人相悪くなったな」
口々にこう言うのだった。
「そうだよな、何か」
「ゴロツキみたいになってきたよな」
その顔に違和感を抱きだしていたのだった。
「というか前はあんな顔していたか?」
「いいや」
それはすぐに否定された。
「もっといい顔していたよな」
「そうそう、それに出たての時なんかは」
話はそこまで遡る。話をしていけば何処までも進んでいった。
「態度も謙虚でな」
「今見たらびっくりする位にな」
「それで今何だ?」
過去のことが振り返られてからそのうえでまた今を見られるのだった。過去があり現在がある、これは鳥越にも言えることだったのだ。
「あんなに横柄でな」
「傲慢でな」
「何様だ?」
またこうしたことが言われた。
「何かあいつが嫌いになってきたよ」
「俺もだ。偉そうにな」
「何様なんだろうね」
おりしもネットで彼のことが話題になりだしてきていた。ネットの恐ろしいところは話が瞬く間に広がることだ。それは彼についても言えることだった。
「昨日のこれな」
「ああ、あれ調べたら誤報だったぞ」
あるニュースのことがネットで話題になったのだ。鳥越が番組の中で取り上げたあるニュースのことがである。
「データ調べたら全然違うんだよ」
「
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