第二章
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に言うのだった。
「俺達が教え導いてやるんだよ」
「使命感ですね」
「そうさ。俺達には使命があるんだ」
この言葉は続く。
「あの連中を教えて賢くさせてやるっていうな」
「それがマスコミの御仕事なんですね」
「国民は余計なことを知らなくていいんだ」
こうも言う。
「俺達が教化してやるんだからな。俺達の言う通りにしていればいいんだよ」
「それじゃあ先生、今は」
「はい、どうぞ」
「これからもやってやるさ」
貢物を受け取りながらまた言う。
「国民を賢くしてやることをな。俺達が国を動かしているんだからな」
その顔は彼自身は気付いていなかったが醜いものになっていた。思い上がり顧みることのなくなった者の顔だった。そしてどんなことでもする者の顔になっていたのだった。
松村はやはり少しずつだが名前も顔も知られるようになってきていた。レギュラー番組も持てるようになりこの日もその撮影に出ていた。
「それで山本さん」
「どうしたんだい?」
「今日は子供達が番組に出るんですよね」
移動の車の中でマネージャーに対して尋ねていた。普通の乗用車に乗って松村は助手席にいる。やはり運転はマネージャーがしているが彼の座り方は謙虚で丁寧なものであった。
「視聴者の子供達が」
「そうだよ」
マネージャーが運転を続けながら彼の言葉に頷いた。
「それがどうかしたのかい?」
「だったら」
それを確認したうえで言うのだった。
「僕のでよかったら」
「まっちゃんのでよかったら?」
松村の仇名である。最近ではこの仇名で呼ばれることが多くなってきているのだ。
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