第一物語・後半-日来独立編-
第六十七章 強くあるために《3》
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け止めた。
痛みからにじみ出る汗。顔色はあまりよくない。
「どうして……今になって暴走なん、て」
「感情が原因かもしれないな」
「それはどういう……」
腕に抱かれながら、奏鳴は近くに見えるセーランの顔を見た。
視界がぼやける。セーランの顔がよく見えない。
嫌だ。見えなくなるのは。
次第に重たくなるまぶたを無理に開き、目の前が真っ暗になるのを恐れた。
閉じてしまったら、もう二度と瞳が開かないような気がしたから。
「流魔は感情によって活性するだろ。奏鳴の身体に流れてるのは神である竜神の血だ。その分普通の人よりも流魔が感情によって活性化し易い。
暴走も、家族や黄森の奴らを殺め、悩み苦しんだせいで追い込まれた奏鳴の負の感情が表に現れたものだったんだ。生まれもって奏鳴は流魔との結び付きが強いってことな」
「また……私は、暴走してしまうのか」
「そうはさせねえ」
言い、セーランは上空にいる竜神を見上げた。
竜神が現実空間に現れたことは、正直予想していなかった。
神は人類をなんとも思っていないからだ。ゆえに神域空間内で大人しくしていると思ったのだが、自ら現れるとは。
何考えてる。宿り主を持つ神が現実空間に現れることは宿り主に相当の負担を掛ける。竜神が知らない筈がねえ。
違う。今はそんなことを考えている場合ではない。
今はどのようにして、奏鳴の暴走を防ぐかだ。
宿り主は、宿した神と同じ運命を辿ると言う。
セーランは記述に載っていた、竜神の運命を思い出す。
竜神が歩んできた運命は、竜の神となるための戦いの日々。強くなるために傷付け、傷付いた毎日。
最終的には竜神として君臨したのだが、その時に大切なものを失った悲しみにより、嘆き、狂ったとされる。
嘆きによって流した涙は世界の水となり、水神として知られるようになった。そして狂った結果によって雷を打ち付け、世界に災害を起こした。
もし竜神の狂いが、奏鳴の暴走と繋がっているならば。世界は辰ノ大花、災害は自身の解放。
駄目だ。当てはめてみるが、これでは解決の方法が見付からない。
「暴走している時、身体が言うことを聞かなかった。もしかしたら……竜神に、支配されているということは、ないのか」
「竜神に身体を支配される?」
あり得る。
それは憑依だ。神身一体という、列記とした宿り主が使う技の一つ。
神を自身の身体に憑依させ、繋がりを強くすることで能力の向上を諮るものだ。だが神を憑依させることは、身体に相当の負担を強いる。
もしも奏鳴の暴走が、負の感情によって生まれたものではなく、竜神が無理矢理、憑依を行ったことによって起こったものだとしたら。
その場合、おかしい点な点がある。
何故に竜神は憑依を行ったのか。
わざわざ憑
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