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緋弾のアリアGS  Genius Scientist
イ・ウー編
武偵殺し
16弾 雨に濡れた殺意
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 すると、座席の銃座が壊れていた。

 アリアはあの一瞬の交錯で、ルノーの武器を破壊していたのだ。

『ピンチになるようだったら、あたしが守ってあげるわ』

 あのアニメ声が、俺の脳内でリピートする。

「アリア――――!!」

 絶叫と共に、ピクリとも動かないアリアをバスの屋根に引き上げる。

 その姿に俺が硬直した時――――

 パァン!

 という破裂音が響いた。

 もう一度、パァン!

「ッ!?」

 音に続いてルノーは急激にスピンを始め、ガードレールにぶつかって――――ドオンッ!

 バスの後ろで、爆発、炎上した。

 見れば前方、レインボーブリッジの真横に、武偵校のヘリが併走してきている。

 そのハッチは大きく開かれ、膝立ちの姿勢でこっちに狙撃銃(ドラグノフ)を向けているレキの姿が見えた。

 建物の多い台場では無かった狙撃のチャンスが、今、この大きな橋の上で来た。

『――――私は一発の銃弾』

 インカムから、レキの声が聞こえてきた。

 見れば、バスの車体の下を狙っている。

『銃弾は人の心を持たない。故に、何も考えない――――』

 詩のようなことをを呟いている。

『――――ただ、目的に向かって飛ぶだけ』

 これは……強襲科(アサルト)にいた頃、何度か聞いたことがある。

 レキがターゲットを(はじ)く際の、クセだ。

 呪文のようなそのセリフを言い終えた瞬間――――

 レキはその銃口を、パッ、パッパッ、3度光らせた。

 銃口が光るたびにギンッ!ギギンッ!と着弾の衝撃がバスに伝わり、一拍ずつ遅れて銃声も3度聞こえてくる。

 ガンッ、ガンガラン、と何かの部品がバスの下から落ちて背後の道路に転がっていった。

 間違いない。あれは。

 あれは――――部品ごとバスから分離された、爆弾。

『――――私は一発の銃弾――――』

 またレキの声に続いて、銃声。

 ギンッ!

 部品から火花が上がり、爆弾は部品ごとサッカーボールのように飛び上がった。

 そして橋の中央分離帯へ、さらにその下の海へと落ちていく。



  ――――ドウウウウウウウウウウウンッ!!!!!



 遠隔操作で起爆させられたのか――――海中から、水柱が盛大に上がる。

 バスは次第に減速し……停まった。

 屋根の上には、ぐったりと動かないアリアと……

 結局なんの役にも立たなかった俺だけが、しばらくの間、豪雨に打たれ続けていた。
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