暁 〜小説投稿サイト〜
緋弾のアリアGS  Genius Scientist
イ・ウー編
武偵殺し
15弾 バスジャック
[3/5]

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。本人も知らないらしいしな。

「レキ」

 置き物のように微動だにしないレキに声をかけるが、返事は無い。

 それもそのはず。レキはでかいヘッドホンをつけて何かを聴いていた。

 こいつとは去年俺がまだ強襲科(アサルト)にいたころに何度か組んで仕事をしたことがあるんだが……この悪癖、まだ直ってなかったらしい。

 コツコツ、と指でその頭をノックすると、レキはようやくヘッドホンを外してこっちを見上げてきた。相変わらず、3Dグラフィックか何かで出来てるんじゃないかってぐらいに整った顔だ。

「おまえもアリアに呼ばれてきたのか?」

「はい」

 抑揚のない、レキの声。

「てゆーか、そのヘッドホン。いつもいつも、何の音楽を聴いてんだ?おまえ」

「音楽ではありません」

「じゃあ何なんだ?」

「風の音です」

 レキはボソッと言うと、かちゃ、と狙撃銃――――ドラグノフという、スリムなセミオートマチック銃だ――――を、まるでテニスのラケットのように自然に肩にかけ直した。

「時間切れね」

 通信を終えたアリアが、くる、と俺たちに振り返る。

「もう1人ぐらいSランクが欲しかったとこだけど。他の事件で出払ってるみたい」

「おい。俺はSランクじゃないぞ」

「3人パーティで追跡するわよ。火力不足はあたしが補う」

 俺のツッコミは普通にスルーされた。やっぱりこいつとは会話が成立しねえ。

「追跡って、何をだ?そもそも何が起きたんだ?状況説明(ブリーフィング)ぐらいきちんとやれ」

「バスジャックよ」

「――――バスジャック?」

「そう。武偵校の通学バス。あんたのマンションの前にも7時58分に停留したはずのやつ。あれがジャックされたわ」

 ――――!?

 なん、だと。

 あのバスが、乗っ取られたっていうのか?

 あれには武藤のバカを始め、武偵校の生徒たちが大量に乗ってるんだぞ。

「――――犯人は、車内にいるのか?」

「正確なところはわからないけど、たぶんいないでしょうね。バスには爆弾が仕掛けられてるわ」

 ――――爆弾――――

 その単語を聞いて、俺の脳裏には数日前のチャリジャックの光景がフラッシュバックする。

 それを感じ取ったのか、アリアは流し目をするようにして俺を見た。

「ミズキ。これは『武偵殺し』。あんたの自転車をやった奴と同一犯の仕業だわ」

 ――――『武偵殺し』……だって?

 聞き覚えのある名前に、俺は眉を寄せる。

 それは、あのチャリジャックがあった日の朝、白雪が話題にしていた連続殺人犯の通称だ。

「最初の武偵はバイクを乗っ取られたわ。次がカージャック。その次があんたの自
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