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ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
OVA
〜慟哭と隔絶の狂想曲〜
荒くれ狼
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せ、一撃必殺でドラグラメンバー達の首を次々に刈り飛ばしていく。
飛び散る血飛沫の総量は、もはや雨といっても過言ではない量にまで達しようとしていた。
幾多の剣戟が荒れ狂うが、それら全てを一人の少年が強引に、力任せに薙ぎ払う。
そこには、もう女性を守る意思など存在していなかった。ただただ、心から信頼している相棒に背中を任せる、歴戦の兵士のようだった。
まるで台風の目のように、そこだけ集団の輪がぽっかり空いている少年を見、《凶獣》と呼ばれる男は音高く舌打ちをした。
―――窮鼠猫を噛む……。追い込みすぎちまったってことかァ?凡ミスだぜァこりゃァ。
憎々しげに眼を細めると、ノアは手の中の
旋棍
(
トンファー
)
の柄を握り直し、鮮血の紅い雨が降る戦場の中へと突っ込む。
―――セオリーに従えァ、ここで優先すンのァあの譲ちゃんの確保、及び拘束。人質ァ最低でも二人ってのが通常だが、贅沢ァ言ってられンか。
先ほど、己の眼で確かめたリータの位置へ、己の全神経を使って走る。
もはや草の色をしていない真っ赤な糸切れが宙を舞うが、その場にいる誰一人として反応するものはいなかった。
だが――――
「な……ンで」
呆然とした、腑抜けたような声が、口許から漏れる。
「なンでお前ェがここにいンだ!冥王オオォォォーッッ!!!」
ニィッ、と。
引き裂かれたような。
焼けただれたような。
そんな嗤みを浮かべ、言う。
「おじさんなら………ううん。誰でもこの状況だったら、ねーちゃんを狙う。だから、あらかじめねーちゃんにはおじさんの動向を細かくチェックしてもらってたんだ。それで、動きがあり次第、僕と位置を交代するようにって」
「な……………」
絶句する獣を前に、いっそう冥界の王は口角を引き上げた。
「ついでに、隙があったら殺すようにと」
「―――――――――――っっッッッ!!?」
その言葉に、ぶあッ!と冷や汗が噴き出し、ノアは背後から迫っていた気配に向かって、振り向きざまに己の得物を薙ぎ払った。
鮮血が迸る。
生首が飛んでいく。
残ったのは――――
噴水のように血液を振りまく、
仲
(
・
)
間
(
・
)
の胴体だった。
「なン……………ッ!?」
そこでノアは、己の失策に気がついた。
カマかけ。
フェイク。
どちらも
交渉術
(
ネゴシエーション
)
の上で、なくてはならないものだ。否、それらで成立しているといっても過言ではないかもしれない。
通常の自分では、こんな安っぽい手には決して引っかからなかったかもしれない。
しかし、今は状況が状況だ。
自らの視覚的な情報に頼った結果が違う。
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