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ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
OVA
〜慟哭と隔絶の狂想曲〜
荒くれ狼
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れたりでもしたら、敵に《凶獣》がいる以上そうそう簡単に逆転はできなくなる。
「………………………………」
嫌な温度の汗が頬を、アゴを伝う。
人一人を守るというものが、ここまで困難なことだとは露ほどにも思わなかった。
人を守る。
命を守る。
それが難しい事だとは、思わなかった。
思わなくて、思えなかった。
単純に、一般論的に、人一人を守ったままでこの人数と戦い、勝つ。それ自体、もう絶望的なまでの確率である。
手足の先が痺れ、感覚がなくなっていくのを感じる。
動悸が激しくなり、貧血にも似た症状を覚え始める。
しかし、その袖をギュッと掴む華奢な手が一つあった。
リータがこちらを見ていた。すがるような眼ではなく、絶望した顔ではなく、助けを求める手ではなかった。
「リータ…………ねーちゃん……?」
「レン君」
ただ、戦う者の眼を、顔を、手をしていた。
「私も戦う」
「は!?な、何言って…………」
「たいした戦力にはならないかもしれないけど、でも……それでも、お荷物になるのは嫌なの!」
きっぱりと、矢車草の名を持つ女性は言った。
死ぬかもしれない。
いや、それよりもまだ辛い苦しみを味あわせられるかもしれない。
それでも――――
いや、だからこそ――――
「戦いたい」
目の前の
人
(
レン
)
を、助けたい。
反論はしなかった。
食い下がりもしなかった。
《冥王》と呼ばれる死神は、ただ黙って頷いた。
女性の眼に浮かぶ覚悟というものの大きさを見て、反論の、議論の、討論の余地はないと判断して、頷いた。
手足の感覚は戻り始める、
細かく震えていた身体は止まる。
鉛のように重かった足は軽くなる。
―――ああ、そうか。
口から出るのは短い言葉。
―――これが、仲間を持つっていう事か。
「行くよ、リータねーちゃん」
「ふふ〜ん♪お姉さんを誰だと思ってるのかなぁ?」
怖くないはずがない。
恐ろしくないはずがない。
それでも、
矢車草
(
リータ
)
は前を向く。
顔にはいつも浮かべている、日向に咲くヒマワリのような、見た者の心が洗われるような、飛びっきりの笑顔を。
大小二つ。
二つの影は、躍るようにコロシアイの真っ只中に身を投じていった。
戦況は大きく変わった。
それまで後生大事に守られていたリータという駒が盤上に出されたということは、もはやレンという一存在を縛る見えない鎖の束はなくなったも同然だった。
ブラックホールを思い起こさせる漆黒の過剰光を輝く刀身に纏わ
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