男女の綱引き
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した笑みの声が耳に入った。
誰のかは解る。
「ふふ……碧ちゃんは真面目ですね。別に私の事にそこまで気を遣わなくてもいいんですよ?」
「いや……やっぱりそういう風にした方がいいのかとは思うのですが……」
どうも自分は気が回らない性分らしい。
空気を呼んで察するのは得意だと思っていたのだが、相手が留美さんだとちょっと難しい。
お姉さん属性で先輩みたいなのでつい何か手助けしたいと思ってしまう。本当は助けられる分際なのに本当に何様だと思う。
それを察してかハクさんが呆れたかのような溜息を吐きながら留美さんに喋りかける。
「……昔からのその性格はそういう時でも変わらないなお前は」
「都合のいいように振る舞うには少し生真面目っていう事なんだと思います。ハク君もそうですよね?」
二人の会話は長い付き合いからの言葉だからか少し羨ましい。
この二人は私達みたいに武蔵から合流した熱田神社組とは違い分社じゃない本社からの付き合いだ。
「……Jud.似た者同士だということにしておこう」
言い包めて負けたと言わない方が良いのだろうと後輩としてと思うが、無視したいのだが性格ゆえに無視できない事をハクさんに聞かなくてはいけない。
「あの……ハクさん。その手作りらしい椅子は一体……」
彼は何故か組み立て式のしかもオリジナルと思わしい椅子を手に持って移動しようとしている。
何だかその椅子は組み立てれば内部が空洞になりそうでしかも人が一人入れそうな感じがする。
こちらの疑問に無表情のまま頷きながら椅子を組み立てる。彼の視線は私からうちの馬鹿神に変わっておりそのまま一言。
「───次こそウケを狙ってくる」
とそこまで思い出した碧は結局どうなったのだろうと思い肉を食いながら視線を回して探してみた。
いた。
中身にハクさんがいるであろう椅子は確かに目論見通り座られる椅子になっていた。
ただし上に載っているのは剣神じゃなくてバケツを頭に被って上半身裸マッスルの人だったが
「……」
あれでは当分何もできないだろうなぁと思い見なかったことにした。
誰だって自分が大事なのだ、うん。
でもよく見たら凄いマッスルな人だ。
とてつもなくマッチョだ。
「やだ……! 素敵!?」
思わず焼肉そっちのけでそっちを見てしまう。
あの筋肉はたまらない。
筋肉フェチな私には実にたまらない。興奮ではぁはぁ息が乱れているが気にしない。
これは是非ともお近づきにならなくては……!
何か相手の人がびくっと怯えて立ち上がってその拍子にハクさんが擬態している椅子を薙ぎ払っていたがどうでもいい。
逃がしてなるものかと思い、接近し
「あ、碧ちゃん?」
「ひいっ!?
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