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不可能男との約束
男女の綱引き
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と否と答えられない。

「───私なら大丈夫ですから」

二度目の促しに点臓は覚悟を決めるしかなかった。





点蔵はそうして風呂に入ろうと扉を開けると真っ先に顔面に当たるのはまず湯気であった。
温泉特有の熱いのではなく粘つくようでいてそのままするりと顔を抜けて温度だけを与える曇り。
ネシンバラ殿とかアデーレ殿ならば眼鏡が曇る……って風呂場まで眼鏡をかけているわけではないで御座ったなとどうでもいい事を考えながら進み、そして目の前の肌色を見てそんなどうでもいい思考は一瞬で弾けた。

「───」

その字名(アーバンネーム)を裏切るかのようにその背は体の表面にあった傷の一欠片も存在しておらず白磁のような肌とよく小説などで使われる例えがあるが語彙が足りない自分では確かにそれ以上の褒め言葉を探す事など出来なかった。
女子の肌を見慣れていないからと言われたらその通りなのだろうが、クラスの女子と比較するのはどっちに対しても失礼だろうと思いつつ、この人がどんな生き方をしてきたのかを改めて実感した。

「? ……あの……?」

「むっ……あ、Ju,Jud.失礼したで御座るっ」

慌てて彼女からの視線を逸らし、先に体を洗う。
極東の風呂の入り方としてまずは体を洗ってからっ。そう、それが一番大事。
決して振り向いた彼女の体の前面が視界に入ったからではない御座るっ。
ないったらないで御座る。
いそいそと間違いなく逃げるように体を拭きながら思う。
あの御仁らはちゃんと会議しているんで御座ろうな。






「はいいいいいいいいい! 早取り肉競争また俺の勝ちぃぃぃぃぃ! どうしたんだよネイトぉ? このままだと俺の十五連勝だぞぉ?」

「くっ……! までだすわ! 如何に副長の勘が人並み外れていても肉が焼けた臭いは私も覚えましたわ! 後は反応速度だけ……!」

「では拙僧は遠慮なくシュウに票を入れようか。どうやら暴食レベルは今のところシュウに軍配が上がるようだしな」

「へっ、ウルキアガ……てめぇの勘が間違ってない事を証明……あ、テメェ! こんのクソ商人! 俺に対してどうして金を向けている!? 妨害工作でこの賭けを乗り越える気だな!? おいネイト! 騎士としての誇りとやらで止めろよ!」

「ふふ……騎士として敗北の汚名を晴らせるのならば何の躊躇いがあるというですの……!」

「肉! これ肉だからな!?」

正純はとりあえず無視して草を食うのに専念する。
肉も別に嫌いというわけではないのだが、こってりしているのはそこまで得意ではないので焼肉でも野菜を多く頼んでしまう気質なのだ。
まぁ、その分はあそこに集まっている肉食獣共が食うから大丈夫だろう。
先生もいるし。

「やぁねぇ光紀。
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