第6章:女の決意・男の勘違い
第27話:無為な時間、でも平和な時間
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(世界樹の根元)
ライアンSIDE
リュカ殿と別れ先に根元の町へ戻った我々は、ウルフのアドバイスに従い宿屋を確保する。
まだ夕刻前で、リュカ殿が直ぐに降りてくれば宿の必要が無く、ご家族以外は『宿を確保しても無駄なのでは?』と懐疑的な心境を呟く中、あの夫婦をよく知るご家族達が、挙って『少なくとも明日の昼までは戻ってこないよ』と言い、率先して宿屋確保を行っている。
宿が不要に思える要因に、奥様がご家族の中では比較的常識人である事……
そして、その奥様がシン殿の為に一計を案じ旦那を動かした事……
だからこそ目的物を手に入れたら、こんな危険な場所に長時間居らず戻ってくるだろうと誰もが予測している。
しかし……夕食時になっても二人が帰ってくる様子はなく、ご家族(ウルフ)も現状の人数分しか夕食を注文しない。
万が一あの夫婦が食事中に戻ってきたら、『何だよぉ〜、僕等の分も注文しておいてよぉ!』と文句を言うだろうに……
「ねぇマリー。お父さん達が何時帰ってくるか、私と賭をしない?」
「え、賭!? ふぅ〜ん……良いわよ、乗った!」
ご家族以外の者が皆不安そうな顔をしていた為か、身内が帰還の目安時間を披露しようと提案してきた。
マリーにも彼女の考えが解ったのだろう。
我々を一瞥すると楽しそうに賭に乗った。
因みに、私の隣で食事をしてたホイミンは「ボクの予想だと、タイミング悪く食事が終わった直後だと思います。で、文句を言うんですよ……きっと」と予測。
「そうね……夕食の前か後かで賭けましょう。マリーはどっちだと思う?」
『夕食の前か後』とは?
既に夕食を始めてるのだし、前と言う事は無いだろうに。
「流石に夕食前には帰ってくるわよ! 24時間以上も、あの上でヤってはいないでしょ!」
24時間!?
何だ……二人は明日の夜まで帰ってこないと予測してるのか!?
「じゃぁ私は明日の夕食後……しかも就寝前くらいだと思うわ」
そんな馬鹿な!?
モンスター蔓延る世界樹の天辺で、24時間以上も無防備な状態で居られる訳がない!
「何か……面白そう。私も……賭けに参加……したい」
私以外の皆(ご家族以外)が唖然としていると、普段寡黙なリューラ殿が珍しく賭けに参加しようと話しかけてくる。
「リューラはダメよ。この賭けに参加する資格を持ってない」
「そうね……悪いんだけど、この賭けに貴女を参加させられないわ」
珍しく彼女が、他の姉妹と交流を持とうとしたのに、マリーが無碍に拒絶するとリューノもそれに迎合する。何だか可愛そうだ……
「な、何でよ……わ、私だって……」
断られたリューラは、哀しそうに二人を見詰め何かを言おうと歯を食いしばる。
あまり
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