第6章:女の決意・男の勘違い
第27話:無為な時間、でも平和な時間
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喋り慣れてないのか、咄嗟の言葉が出てこないようだ。
「違うの……勘違いしないでリューラ! 別に意地悪で参加を拒否ってる訳じゃないのよ……私とマリーには共通の賭け金があるから、この賭が成立するのであって、貴女にはそれが無いの。だから私達だけでしか賭が出来ないのよ」
「そうよ。喧嘩はするけど、私だって貴女の事を爪弾きにしようなんて思ってないわ。だから貴女の予想を聞く事は出来ても、賭には参加させられないの」
「な、何だ……その……賭け金……ってのは?」
「解らないの? そこはお父さんの娘として、察する能力を身に着けてほしいわねぇ……」
「マリー……そんな意地悪な言い方をしないの! リューラは私達と違って純情なんだから、こんな事を察するなんて出来る訳無いでしょ! 我が一族内で真面目人間のグループなんだから」
確かに……あの男と本当に血が繋がってるのか不思議に思える真面目っ娘だ。
「ライアン様……きっとリューラさんのお母さんは、真面目な常識人なんでしょうね。世界樹を登ってる最中にウルフさんが言ってましたが、母親の血こそ偉大みたいですし……」
ホイミンも私と同じ事を感じたのだろう。
小声でだが話しかけられ、思わず笑ってしまった。
だが笑ってしまったのが目立ったようで、皆の視線を一斉に浴びてしまう……さて、どうするかな?
「あ〜……その……因みに、お二人が持ってるという賭け金とは何なんでしょうか? 本当に金と言う事ではなさそうだが……」
咄嗟に出した言葉とは言え、凄く良い質問をした気がする。
「そんなのも解らないのライアンちゃん? 私とリューノが持ってる共通項よ!」
何だ二人の共通項とは……?
二人ともリュカ殿の娘……だとするとリューラ殿もそうか。
「ライアンさん……コレですよ、コレ!」
私が答えに悩んでると、マリー・リューノに挟まれた位置で食事するウルフが、自分の下方を指差しヒントを与えようとする。
「あぁ……ウルフの粗チンか……」
私が理解出来ないでいると、素早く察したリューラが溜息を吐きながら答えを告げる。
そうか……二人ともウルフの彼女だったんだ。
「粗チンとは何だコラ!? 俺の暴れん坊ソードは、結構な名刀なんだゾ! お前の彼氏のと比べる為に、今夜味わってみるかコラ! 彼氏が前で俺が後ろのサンドイッチにしてやんぞ!」
やはり彼女もあの男の娘。平然と“粗チン”と言う単語を発するとは……
「おい名刀使い……また姉妹に手を出す気か?」
「ち、違うっすマリーさん……誤解っすよ!」
「本当か名刀使い……『2人も3人も同じ?』とか言ってんじゃないのか?」
「リュ、リューノさんまで……俺を信用して下さいよ! お二人のお父様の愛弟子ですよ」
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