SAO編
第一章 冒険者生活
2.怒涛
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既に三分の一を切っていた事もあるが、何より休み無しの連続戦闘にこの三人がかなり精神的に参っているのを感じていたからである。
「……だが、まずは武器を修理しなければな」
誰に言うでもなく小さく呟く。
【少女の護衛】というクエストは、彼女の家に辿り着かないと終わらないらしい。
三人を早く休ませてやりたいという気持ちも勿論あるが、それよりも武器の耐久値が全快ではないという状況に不安を感じる。
何故なら、この村の敷地内に入ったときに視界に出た【エウリア村】という表示の上に、《はじまりの街》では見慣れたあの文字列が出なかったからだ。
そう、この村は――《犯罪禁止コード圏内》ではないのだ。
「ここが、わたしのお家よ」
少女の案内の最終地点は二階建ての小さな家だった。小さな家、と言っても周りにある家と比べてという意味で、現実世界で見れば結構な敷地があるのではないだろうか。
少女に続いて家の中に入った俺たちは、少女の母親にお礼を言われてクエストを達成した。
クエストの報酬はこの家での一宿一飯と、かなりの量の経験値だった。正直苦労した割には大した報酬ではないが、こんな小さな村の更に小さな家の一家庭にそれを求めるのもどうなのだろう、とは思う。
しかし今回の報酬の経験値で、あの三人はレベル5に上がることができた。また一つ、三人が死の危険から遠ざかったことに安堵しつつ、逆に更に自分たちは取り返しのつかない場所へと向かってしまっているのではないか、という思いも俺は感じていた。
レベルが上がったことを喜んでいた俺たちに、少女の母親が午後六時ちょうどに夕食を用意するので、それまで村を見て回ってきてはと提案してきた。
現在は午後一時半。夕食までの暇潰しとして、俺たちはまず武器の修理を行うことにした。
少女の母親に教わった場所に行くと、商店街とも言えないようなまばらに店が並んだ場所に、鍛冶屋の印である金鎚のマークの付いた看板を見つけた。
「……いらっしゃい。珍しいな。こんな辺鄙な村によ」
店に入った俺たちを迎えたのは、物語に出てくるドワーフもかくやと言った大層な髭を蓄えた背の低い初老のNPCだった。
はじまりの街では鍛冶屋と武器屋は別々だったのだが、この村では全てを鍛冶屋が担っているらしい。内装は殆ど武器屋と変わらないが、武器に混じって包丁やら鍬やらが棚に並べられている。そして、カウンターの向こうには鍛冶工房も見えた。
「……店主。武器の修理を頼みたい」
「あいよ。んじゃ、武器を出してくんな」
俺たちはカウンターの上に自分たちの武器を置いた。武器が《非オブジェクト状態》の場合はウィンドウ上でのやり取りの方が楽だが、《オブジェクト状態》ならばそ
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