SAO編
第一章 冒険者生活
2.怒涛
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感覚は……どこかで……。
「……ギッ、……ガッ、……グエッ!?」
ゴブリンの行動に先回りしておくように槍の切っ先を放つ。前に踏み出そうとする足へ、棍棒を振りかぶろうとする腕へ、攻撃を避けて後ろへ回りこんだ俺を視認するために振り返ったその大きな頭へ。
相手の行動を読み、相手から当たってくれるように攻撃を仕掛ける。
――これは、この感覚は……そうだ。師匠との稽古だ。
相手の動きから次の攻撃の気配を読み取り、それを逆手にとって自身の攻撃を当てる。
動きがよく見えると思ったのは相手が人型だからだ。強敵だと思っていた人型こそ、俺が長年続けていた師匠との稽古を思い出し、逆に行動を読むことが容易となる。
二本の足が大地を掴む様子で重心の位置を感じ取り、腕の振りと武器の位置から攻撃の軌道を読み取り、視線から相手の狙いを予測する。
敵の動きが解る。狙いが解る。
――そうか。これが……俺がこの十五年間で、師匠との稽古で得た物なのか。
それはどこか虚しくもあり、この状況においては嬉しくもあり、何とも複雑な気持ちだった。
「ギ……ギィ――ッ!」
「!?」
既にHPバーは二割を切っているゴブリンの動きが一瞬止まったかと思った矢先、突如その動きが加速して橙色の光に包まれた棍棒が俺に迫ってきた。
――迂闊っ、ソードスキルか!
このSAOの世界特有の技である《ソードスキル》。師匠との稽古では――現実世界では有り得なかった技を失念していた。如何にその動きが遅く見えても、ソードスキルは動きを加速させて実力以上を攻撃を放つことが出来る。
――この攻撃は避けることは出来無い……っ。
「……ぐっ、う」
そう思った俺は、あえて左腕で相手の技を受けた。この木柄の槍では攻撃を受けると耐久値の減少が大きい。HPはポーションで回復出来るが、武器は街か村の武器屋、鍛冶屋でしか直すことは出来ない。この場面では俺は先のことを考え、自分のHPよりも武器の耐久値をとった。
「…………っ」
相手の攻撃を受けた左腕に痺れた感覚が残る。喰らったソードスキルの効果か、この戦闘中は使うことが出来なさそうだ。
これは俺の不注意だ。相手がソードスキルを扱うことも、ソードスキルが能力以上の攻撃を放てることも知っていた。
しかし、自分の十五年を懸けた稽古の成果を感じることが出来たのが嬉しくて浮かれていた。
「……未熟」
だが、もう覚えた。次からは同じ失敗はしない。
ソードスキルの技後硬直から解き放たれたゴブリンがこちらを向いた。
俺は未だ痺れる左手の変わりに、左の肩に槍を中腹を置き、相手にやや背中を向ける形で半身で構える。
「ギーッ!」
「……」
ゴブリンは再びソ
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