暁 〜小説投稿サイト〜
SAO 〜冷厳なる槍使い〜
SAO編
第一章  冒険者生活
2.怒涛
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 それら全てをNPCだから、と片付けてしまうのが一番手っ取り早いのだろうが、個人的にはそれでは納得が出来ない。
 まあだが、見る限りルネリーたちは気にしてはいないようだ。俺一人、答えの無いことを考えていても仕方ないか……。
 俺は思考を切り替え、再度周囲に《索敵》をかけた。

「…………!」

 ――居る。

 姿は木々で隠れて見えないが、赤いカーソルだけは視界に映っている。正確な距離は解らないが、そう遠くは無いだろう。
 俺は横を歩く少女の前に移動しながら、後方にいる三人に声をかける。

「……敵だ。前方に一匹。お前たちは少女を守れ」
「! ……は、はいっ」

 三人に指示を出し、俺は周りに他のモンスターが居ないことを確かめてから、前方の敵のもとへと走った。
 このNPCの少女は、俺が敵を見つけたと言っても歩みを止めはしない。自分で視認してからでないと絶対に止まらないのだ。そのため、不意打ちを防ぐ為にはある程度こちらから先攻を取らなければ不要な危険を招きかねない。俺は隠れている敵に向かって囮となるべく先行した。

「…………っ」

 少女から25メートル程先行した場所。藪を抜けると、そこには――。

「ギギ、ギーッ!!」

 初めて見る《人型の異形》が居た。
 名前は――《ロウアー・ゴブリン》。
 身長1.5メートル程で深緑色の荒れた肌。大きい口にギザギザの歯、ボロボロの腰布以外は何も身に着けていなく、棘の付いた短い棍棒を右手に持って振り回している。

「…………」

 人型のモンスターと戦うのはこれが初めてとなる。今までは動物か植物を模したモンスターだけだった。《はじまりの街》の図書館で読んだ資料によれば、人型のモンスターはソードスキルさえも扱うらしい。
 普段、自分たちが頼りにしている攻撃力が、そのまま自分に返ってくるのだ。これほど恐ろしいものはないだろう。

 ――だが……何故だ? 何故、俺はこんなにも落ち着いているんだ?

 目の前で奇声を放っているモンスターに、俺は脅威を全くと言っていいほど感じて無い。

「ギーッ!」

 ゴブリンが大口を開けて棍棒を振りかぶりながら飛びかかって来た。

「…………」

 右手を斜め上に棍棒を振り上げているゴブリン。この形から予測出来る攻撃パターンは《斜め軌道の叩きつけ》。攻撃のリーチは、腕と棍棒の長さを合わせても1.2メートル程か。
 俺は左半身を下げることでゴブリンの攻撃を避ける。棍棒を下に振り切ると同時に、後退跳躍しながらゴブリンの喉仏に刺突を放つ。

 ――何だ……?

 頭の中が冴え渡っていくような感覚。
 敵の動きがよく見えて筋肉の緊張と間接の動きから、相手の次の行動が解るこの感覚。

 ――この
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