SAO編
第一章 冒険者生活
2.怒涛
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楽に倒せる。しかし、あまり近づき過ぎると毒のある牙で足を噛まれる。一度ルネリーが噛まれて、俺たちの中では初めてとなる毒状態というものになった。そのときはすぐに後退させて解毒ポーションを飲ませたので大事にはならなかったが、ルネリー曰く。
「すっっっごく気持ち悪かったです! なんかこう、お腹の中をぐるぐると回ってるような、頭をガンガン叩かれてるような……もう毒はいや――って感じでしたぁ……」
ということを、身振り手振りと涙目付きで力説していたので、それを聞いた俺たちは一層注意をするようになった。
《プレデット・バルブ》は動きが遅い。球根から生えている幾本もの細い根全てを使って自身を支えながら動いてるので、人が歩く程の速度しか出せない。しかし、球根の頭頂部に付いている赤い花からはキラキラと輝く花粉を噴出し、球根の根元付近にある大きな口からはシュウシュウと嫌な音を立てる液体を吐きだす。花粉は輝いていて視認でき、漂う速度も遅いために避ける事は可能。口から吐き出す液体も、通常開きっぱなしの口を閉じて、唾を溜めるようにもごもごした事前モーションがあるため楽に避けられる。頭頂部の花は斬り落とすことが可能らしく、斬り落とした後は液体噴射にさえ気を付ければ特に問題無く倒せた。
だが問題なのはその数だった。一匹では弱いとはいえ、それが三匹、四匹と現れれば対応も変化させざるを得ない。
現在はルネリーたち三人でモンスター二匹を相手にさせ、残りは俺が相手をするという戦法をとっている。戦運びに関して、まだまだルネリーたちでは二匹までがせいぜいだろう。対する俺はというと、この程度なら何匹でも変わらないが、如何せんやはり攻撃力不足が否めない。
NPCの少女を守りつつ、三人の様子を見ながら自分の担当であるモンスターを相手にするとなると、せいぜい三匹が限界だ。担当が四匹以上になると、敵の攻撃を防ぐことに手一杯となり、時間を稼ぐことくらいしか出来なくなる。
しかし、今はルネリーたちがいる。ソードスキルを使った連携を覚えたこの三人は今や攻撃力では俺の一歩前を行っていると言わざるを得ない。二匹以下なら三分もかからず倒すことが出来るので、俺は三人が援護に来るまでの時間を敵の攻撃を弾いて耐えていればいい。
ルネリー、レイア、チマ。この三人は俺の想像よりもずっと早く成長してくれた。既に俺が、三人に援護を頼めるくらいに。師匠としては、そんな自分が情けなくも思うし、手のかからない弟子たちに少し寂しくも思う。
だが、SAOというゲームでの戦う仲間だと思えば、寧ろその成長は喜ばしいし、頼もしいことだ。
戦術面では俺が補い、攻撃力では三人が補ってくれる。
これは俺だけが思っていることかもしれないが、俺は三人を――《戦友》だと思い始めていた。
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