SAO編
第一章 冒険者生活
2.怒涛
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村への案内をしてくれるNPCの少女の護衛を受けた俺たちは、ゆっくりと一定のペースで歩く少女の周りを囲うように歩いていた。
俺は少女の右斜め前に位置し、三人は一定の間隔を空けて少女の後ろを半包囲すような位置に。護衛対象をあまり視界から離すのはいけないと思うゆえの配置となる。いつ襲われるか解らないので、既に四人とも各々武器を抜いて戦闘態勢になっていた。
現在の俺の《索敵》スキルの熟練度はまだ二十六だ。視界の中限定で、約25メートル以内にいるモンスターをカーソル表示する。ただ方向が解るだけで正確な距離までは解らないし、視界範囲だけなので、周囲を警戒するには常に周りを見渡しながら《索敵》を発動させなければいけない。極めて不便なスキルだが、それでも奇襲を防ぐには必要な物だ。
「むー、どんなモンスターが出てくるッスかねぇ」
NPC少女のやや右斜め後ろを歩くチマが、周囲を忙しなく見ながら、だがやや緊張感の欠けた声で呟いた。
「……今までは、動物とか虫っぽいモンスターが多かったよね」
チマの反対側、NPCの少女のやや左斜め後ろを歩くレイアが首を傾げながらチマに続く。
「どんな敵が来てもっ、よーく見て倒すだけだよ!」
少女の真後ろを歩くルネリーがやる気が溢れてるといった感じで言った。
ルネリーは熱血ッスねぇ、というチマとレイアの苦笑を聞きながら、俺は再び周囲を――
「! ……右方一匹、来るぞっ」
「っ……は、はい!」
前方、右方と《索敵》していた俺の視界に赤いカーソルが一つ現れる。暗闇で姿は見えないが、名前が表示されていないということはまだ見たことのないモンスターだろう。
俺はすぐさま声を上げて状況を伝える。そして三人が反応したことを確認し、急ぎ他の方向を《索敵》にかけた。
――後方、良し。左方……む!
「左からも一匹! お前たちは右を……!」
「うい、了解ッス!]
「わかりましたっ」
言いながら俺たちはNPCの少女の左右に移動する。
「同時に二匹なんて初めてですね……」
右方の暗闇を窺いながらレイアが強張った声を出す。
「……今後は恐らく集団で襲って来ることは増えてくるだろう。寧ろ此処で慣れておく、ぐらいに考えておけ」
「は、はいっ」
……レイアにはそう言ったが、二匹同時に襲ってくることなんて確かに俺たちにとって初めての経験だ。
今までは一匹相手に誰かが戦って、他は危なくなったらすぐに助けに入れるように見守る、というのが常だった。だが、今までの経験からすれば二匹程度なら恐らく問題は無いだろう。三人には考えて戦う方法を教えてきた。初めて見る敵だとしても、同数以下なら誰もが梃子摺る事無く戦えると思う。
「――来るぞ!」
少女の左方
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