七十 裏切り
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価値観に、争われている対象のナルトはうんざりと呟いた。
「俺の死因を勝手に決めないでくれないか…」
「あ―――――――!!!!」
だが彼のぼやきは甲高い声に遮られる。
同じく陽炎の如く揺れている影がナルトの姿を認めるや否や、ぴょんっと大きく跳ねた。
「邪神様じゃねぇーか!!帰って来たのかぁ!?」
「その呼び名、本気で止めろ」
間髪容れずにナルトが咎めるものの、相手は全く気にせずに喜び勇んで続け様に喋った。
「今度こそ俺とコンビ組もうぜぇ!!俺、角都より邪神様のほうがいいっ!!」
「その言葉、そっくり返すぞ…。俺とてナルトと組む方がやりやすいんだからな」
洞穴内で反響する甲高い声に辟易したのか、はしゃぐ青年の隣で男――角都が溜息をつく。
現在角都が組んでいる青年――飛段はなぜかナルトを『邪神様』と呼んでいる。殺戮を指針とした新興宗教ジャシン教を信仰する熱狂的な信奉者なのだが、ナルトに何を見出したのか、何時の頃からか彼を『邪神様』と慕うようになっていたのだ。
だからと言って戦闘前や戦闘後に行う儀式における『ジャシン様』ではないらしい。しかしながら同一視しているのかと勘違いするほどナルトに対する飛段の熱狂ぶりは凄まじいものがある。
飛段とツーマンセルを組んでいる角都は相方の不可解な言動に頭を抱え、ナルトには同情の念を禁じえなかった。
黒地に赤き雲模様を描いた外套。ナルト以外全員同じ装束を身につけている彼らは、犯罪者とは思えないほど陽気に会話している。
会話というより言い争いに近い不毛な話はナルトの一声で終止符を打たれた。
「それで…用件は何だ?」
ナルトの朗とした声が洞窟全体に谺する。するとそれまで黙していた中央の男がようやっと口を開いた。
「足労を煩わせて悪かったな、ナルト」
「いや…。それより本題は何だ?」
「非常呼集を掛けたのは他でもない。我々『暁』の鉄則は知っているな?」
ナルトを巡って芸術論を繰り広げていたデイダラとサソリ、そして飛段と角都が口を閉ざす。
『暁』の表向きリーダーである男――ペインの発言でその場は水を打ったように静まり返った。やがて各々が一同に告げる。
「「「「「「裏切り者には死を」」」」」」
口を揃える。暁の格言を唯一口にしなかったナルトが周囲を見渡した。
ペインを始め、暁のメンバーは皆本体ではない。ナルト以外は全て陽炎のような影が揺らめいているだけだ。
しかしながら姿形は本体と同じ容姿を模る為、ナルトの眼は正確に自身を呼び付けた相手の姿を捉えていた。
鋭く光る青の双眸に気づいたゼツが身を縮ませる。気まずげなゼツの態度を見て取って、ナルトは内心舌打ちした。
(暁の召集に、わざわざマダラの名を騙ったのか…)
ゼツ
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