第124話 董卓上洛
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なければなりません。何進様がお隠れになったおりどのような事態に陥ったか分かっていますでしょう? 主君が倒れれば、それに付き従う家臣の命と其の家族の生活が全て崩壊するのです。貴方様の肩にはそれ程に大きいものを抱えておいでなのです。自分の想いをお捨てください」
麗羽は桂花の厳しい言葉に沈黙した。その沈黙の時間を破ったのは鈴々だった。鈴々は何もないように快活な笑みを浮かべ言った。
「麗羽お姉ちゃん、逃げてなのだ」
「鈴々さん、分かっていますの!?」
麗羽は鈴々の言葉に動揺した。
「分かっているのだ」
鈴々は覚悟決めた表情で麗羽を見つめた。
「姫、後のことはまかせました」
「麗羽様、私達が時間を稼ぎます。桂花さん、麗羽様のこと頼みました」
「麗羽お姉ちゃん、正宗お兄ちゃんの援軍が来るまで踏ん張ってみせるから安心してほしいのだ」
鈴々、猪々子、斗詩は武器を握り馬を翻して、迫る敵軍に向っていった。その後ろを味方の騎兵達が着いていてく。
「あなた達、お待ちなさい!!」
麗羽が鈴々達を追おうと馬を走らせるのは阻むように桂花が両腕を思いっきりに広げ制止した。桂花は黙して何も関わらず、ただ麗羽の顔を哀しみを必死に堪えた表情で見つめた。
「鈴々さん、猪々子さん、斗詩さん、みなさん」
麗羽は瞳を潤ませ、唇を噛み締め体を震わせていた。彼女は利き腕の右手を強く握り絞めていた。
「麗羽様、皆の気持ちを無駄にしてはいけません」
桂花は麗羽に対して声をかけた。
「分かっていますわ。ここで逃げなければ皆さんの気持ちを無駄にしてしまう・・・・・・。私は自分の無力さが憎い。憎くてたまらない」
麗羽は俯きに暫し感傷に浸るも鈴々達の去っていた方向に背を向け馬を駆け出した。馬を走らせる麗羽の表情は既に悲しみはなかった。彼女の瞳は強い光を帯びていた。その光は「必ず生き残る」という生への渇望を感じさせるものだった。
「皆さん、冀州で待っていますわ! 桂花さん、行きますわよ」
桂花は麗羽の言葉に返事せず強く頷くと麗羽の後を追った。
麗羽と桂花は馬を走らせた。実際には数刻程度として経過していなかったが二人には凄く長い時間のように感じていただろう。そして、鈴々達を残した方角のほうから追手の騎兵が迫ってきていた。麗羽は鈴々達は死んだのではと心を抉られたよう表情をするも直ぐに表情を戻し馬を必死に走らせた。
麗羽は前方に砂塵を発見した。彼女の向う先から勢いよく騎兵達が駆けている。前方から迫る騎兵達との間合いは凄い早さで埋まって行く。彼らの馬は良馬であることは間違いない。麗羽は安堵した。あれは自分の夫の軍に違いないと。
「あ、あれは味方でなくて
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