無題
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キラ」達を傲慢って見るのは、つまるところやっかみなんだけど、またそれが地球規模ってところがさ)なんか地球に生まれて、尚且つ人間で、他人につながりを求めるのが罪になっちまう人間じゃないか。奴ら。「違うか・・・」
「何?なんか言った?」考え事だって元山が答える。
「全部噂だよ。全部。噂ついでに教えたる。山梨の森に一号君の墓がある。アキラ一号君の。行ったことないけどさ。百年前の地震の元だっつー話。リンチ。嫉妬。風評にさらされて。死んだ。らしい。らしいよ。洞窟にあるとよう」佐々岡は少し肩を揺らしながら節を付けて話した。上ずった感じで話してくれた。あまり話すべき話ではないことも、話したくてしょうがない話ともわかった。佐々岡だってリーダーだ。「アキラ」に近い。
「世の中変わったんすか」
「大丈夫。全ての男の性的欲求を解消しない限り世界は変わり続ける。」
元山は何も答えなかった。ありえない話だ。十六年も生きてりゃそんなことぐらい分かる。日本なんて四枚のプレートの上に乗っかったシワ寄せの国なんだし、その“エネルギー”を巨チン君が逃がしてくれるって? 俺も逃がしてぇな。うーん、いっぱい。元山がニヤついてるのを見て他のメンバーが大笑いしていた。「何考えてんの」って。
「ちょっと寒い」佐々岡がトヨタで暖を採る。窓が白く曇る。その車の前に元山が手を組んで立っている。コンコンとガラスを叩く音がした。振り返ると「SEXしてー」って書いてあった。
「俺もっス」少し笑って言った。パワーウインドウが少し開く。
「生意気言うな」ウインドウが閉まった。聴こえないぐらいの声で言ったんだけどな。そうか「生意気」か。
「全てを満足させない限り世の中は変わり続ける」御もっとも。
ボクタチノ旅ハツヅク
タトエソレガ年老イタオオカミノシッポヲツカムタメノタビデアッタトシテモ
コノママジャイイキテイケナイ子供ジャナクテモ
一秒サキヘノタビガツヅク
「新山」は佇む。マグマもたたえず(あるいはその奥深くに隠し)ただそびえている。その身代わりとしての存在の意味も、与えられた姿も人々を威圧しない。血脈を街に放ちそれ自体は人の肝臓に似て、全てを無毒にしていくかのように佇む。それは街を隔て、月を隠し、力を新しいものに向け、悲劇を免れた自然の理を説く、そんな姿に見える。千の人々の営み、それは然るべく不満を生み、放たれ、それを受け止める民作りあげし神の摂理から人々に配せられる皮肉的理不尽 全てを。「嗚呼、しょうがない」と。
リョウタノバイクガリョウタトトモニヤミニキエル
亮太が左カーブから立ち上がると長いストレートが待っている。スタートから二分も経っていない。フルに回るエンジンが亮太の体にも電気を満たしてくれる。そのスピードがタンクを挟む両膝を震わそう
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