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無題(思いつかない)
無題
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つもの光景だって亮太は言う。
「うちのがなんであんなんがリーダーか教えてくれるよ」バイクのスピードが少し上がった。亮太も誰もが感じてきたような、然るべきときに感じなきゃならないようなものを感じる敏感さを持っているようだった。(じゃなきゃ突っ張ったりしない)嫉妬?焦燥感?何せ奴らは勃起したチンポを女に入れ入れすることに命を賭けてんだ。誰よりも固いチンポを。亮太の目の前でタコメーターが赤にかかる。亮太はこのスピードなら一周してあの赤いスポーツカーとスタート地点ではち会わすなと思った。左カーブが続く。亮太と二人でこのカーブを抜けなきゃならない。たとえ苦しくても抜けなきゃならないんだ。その後に何も変わってなくても。それが人生だって走りだす前に佐々岡が言っていた。そうたとえそれが同道めぐりでも走り続けなきゃならないって。
 スタート地点まで戻ると佐々岡吉人がタバコをふかして待っていた。隣にはメンバーの奈良と山荻がいた。他の後の二人はまだ名前を聞いていない。全員つなぎのライダーススーツを着ている。今日は元山の初日だから揃いを着てきたらしい。あまり華々しい感じはしない。ほったらかしグループだって聞いていた。「一人で走ってるし・・・」元山の半笑いの独りごちには耳を貸さない。上ずった心地を少し落ち着けるように鼻を二回かそこら鳴らす。
「割とゆっくりだったな」奈良が時計を見た。走り初めて二十分は経っていた。一周6.7`を周るには遅すぎる。
「タバコ吸いすぎた」佐々岡がアスファルトにタバコを踏みつけた。
佐々岡の目線の先には「チーム桜木」がたむろしている。帽子のつばを後ろに回して金のネックレスをしている実質のリーダーらしき男がこちらを一瞥する。
「おい、なんか言ってやれよ」佐々岡が元山に言う。
山荻が「通過儀礼」って教えてくれた。思い当たる言葉が出てこない。
「こっち見てんじゃねーよ こっち見てんじゃねーよ」二回言った。
「大丈夫。あいつら俺達みたいな男ばかりのグループがホモの気うつさないかびびってんだよ」佐々岡が元山の背中を突いた。「アキラ」の目線が他に移る。女じゃないし、車でもない。何か遠くを見るように目の前の何かを見ている。すぐ目線は山の頂に移る。月を見て、アスファルトを眺め、ため息ともつかない深呼吸でタバコをふかす。頭を回すたびにサラサラなオカッパが揺れる。
「大丈夫っスか」ネックレスがオカッパに聞く。
「なんかあったらすぐ言ってくださいよ」
「阿呆だ」うちのグループの誰かが言った。よく周りが醒めないもんだよ。
「巨根だとさ」
「え?」
「21センチ」
山荻が拳を縦に二つ並べて、うなぎを掴む奴みたいに頭上まで空を握っていく。「あはは」と声が漏れた。
「親指十本分か・・・」
道路の向こう、銘々のスポーツカーに女が吸い込まれていく。色気づい
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