第1部その3:友達思いなのはお互い様じゃね?
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真正面から突っ込んで行った。
その瞬間、俺の目の前は嵐の中をドライブしたかのように魔弾が弾かれる光景が広り、耳には叩くべき物を間違えた鼓笛隊の如き耳障りなドラムロールが鳴り響いた。
だが、俺の身体には一発の被弾も無い。
全てはデッカいガラスの工芸品の如きバリアによって防がれている。
≪最初の犠牲者まで距離20≫
最初の弾幕を突っ切ると、目の前に前衛の標的群が立ち並んでいた。
俺はウィルが視界に直接照射したマーキングを頼りに一番近いヤツを見極めると腰を据えて一直線。
銀の杭を標的のど真中に向け、グリップに備え付けられたスロットルバーを思い切り握った。
ブオオオオオンと咆哮を上げる魔導エンジンが極太の銀杭を荒々しく震わせる。
「せいっ!!」
俺は腹に力を入れて、最初の標的を一突き。
向こうが展開していた防御魔法など何のその。
杭が触れた瞬間、まるで薄氷を叩き割ったかのように粉々になった魔力の欠片が吹き飛ぶと、標的も同じ末路を辿った。
「まずは一つ」
標的が消滅したのを確認すると、俺は続けて奥に並ぶ標的の軍団に向かって突っ込んで行った。
魔弾が効かないと判断した標的達の戦術AIは掃射を止め、一斉に散らばり始める。
俺は対応の遅かった一つに目標を絞り、肉薄して一突き。
上下真っ二つに割かれた標的がクルクルと回りながら吹っ飛んで消滅した。
≪気ぃ付けろぉ、rrロックオンされてんぞ≫
ウィルが俺にそう告げると、アラートが鳴り響く。
標的は威力の弱い速射魔法による攻撃を諦め、威力の強い誘導式の射撃魔法へと攻撃を変更していた。
高町さんが使うディバインシューターと同じような誘導魔弾は、まるでミサイルのようだ。
≪防ぐか?≫
「いいや、見てろよウィル!」
防御魔法を再展開するか聞いてきたウィルにNOと答えると、俺は背中の魔力スラスタを吹かして更に加速した。
目の前にグングンと迫る魔弾を良く見て…………今だ!
俺はスラスタを急停止させ身体を捻ると再び魔力スラスタを最大出力で再点火した。
急激な方向変換によって全身にGが加わる。
俺は気合でそれに耐えて見せると、後方で目標を見失った魔弾が自爆していた。
続いて3発、たて続けに放たれた誘導魔弾が迫るのを確認し、俺は同じように急激な方向変換による回避を連続で行った。
点火、停止、再点火、停止、再点火、停止、再点火。
右左に流れる横Gに耐えながら魔弾を全て躱すと、すぐ前には魔弾を撃っていた標的が居る。
「3つ目!」
俺はすぐさま突きをぶっこみ、そいつを破壊した。
≪おいおい、今のはおじさん流石に驚いたぜ、いつ覚えたんだ?≫
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