第1部その3:友達思いなのはお互い様じゃね?
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前までは「ターゲットを壊せばいい」とだけ思っていたが、あの子と戦ってからはターゲットに対して「どう避けてどう近付くか」とか「どのタイミングで攻撃を仕掛けるか」といった駆け引きを考え始め、頭の悪い俺はその都度頭痛に苛まれた。
だが、俺の心の何処かでは「それはそれで面白い」と思っている部分もあった。
≪オッケー、そんじゃまぁトrrルェーニングプrrルォーグラムを始めましぉうか≫
相変わらずウィルは「ら行」が巻き舌である、そして超絶濃ゆい。
「ああ、いつでも行けるぜ」
だが、人間何にでも慣れちまうもんだ。
俺はいつもの如くネットリとしたオッサンヴォイスであるウィルに準備完了の旨を伝えると削岩機のような槍型デバイスをゆっくりと持ち上げた。
左足を半歩前に出し、腰を落とす。
膝と足首はバネのようにしなやかにし、ウィルのグリップはしっかりと握りつつなるべく腰の近くに据え、銀色の魔力で編まれた杭の先と目線の先とを合わせる。
≪訓練開始5秒前≫
ウィルのアナウンスを聞いて俺は一旦目を閉じて深呼吸。
肩は張らずに力を抜いて、それでも背筋はピンと伸ばし、胸を張る。
さぁ……行くぞ俺!
≪3、2、1、始めぇぇ!!≫
張り上げたウィルの声を合図に俺は「カッ!」と両目を開き、背中の魔力スラスタに魔力を送り込んだ。
背中から魔力の塊をロケットの様に吹き出し、俺の身体が宙を舞う。
直線だけは速い俺が仮想空間内の青空をグングン進んで行くと、目の前に幾つもの標的が出現した。
人の形を模った黒い板は、射撃訓練などで使いそうなそれその物。
しかしながら、魔法の世界の標的は俺達の世界の標的のさらに上を行っており、攻撃も出来ちゃう優れものだった。
その数およそ20。
空に浮かぶ黒い標的達は、一斉に俺の方を向くとマシンガンの様に魔弾を放ってきた。
「複合装甲展開!!」
≪ガッテン!≫
俺がウィルに命令すると、左肩のアーマーから幾重もの魔法陣が出現。
その魔法陣が変形を始めて小さな6角形のガラスのタイルの様に変化すると、合体して大きな球体を構築した。
魔法と物理両方から俺を護るそのバリアは「ヘキサゴンプレート状に変異させた防壁を球状に組む事によって物理的剛性を高めた上で、プレート一枚単位に施した硬化術式を励起させ、共振を図る事によって見た目以上の防御力を誇る鉄壁と化す」…ってウィルが言ってたが、何を言ってるのか全く分からん。
とりあえず、アホみたいに固いって事は分かったので良しとする。
そんなアホみたいに固いバリアを展開した俺は、標的から放たれた数えるのも馬鹿らしく思えるような魔弾の弾幕に漢らしく
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