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路地裏の魔法少年
第1部その3:友達思いなのはお互い様じゃね?
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 週の真ん中水曜日の出来事である。

 その日もいつもの様に学校に向かい、いつもの様に授業を受け、いつもの様に啓太の際どいボケに突っ込みを入れる作業を淡々とこなしつつ、俺は『マルチタスク』っつー自分でもビックリするくらい器用な芸当でもって対魔導師戦の『イメージトレーニング』を行っていた。

 啓太発案の謎のトレーニングによって一応の成果が出始めていたのか、俺はアイアン・ウィルを使った戦い方、つまり、槍での戦い方ってのが何となくだが分かり始めていた。
 アイツがやらせた、頭にジャン○を乗っけたすり足の練習は、どうやら俺に『重心の位置を変える事無く移動させる事』を覚えさせる為に行っていたみたいで、そのお蔭でウィルを構えた時に杭の先端をずーっと相手に向けたまま移動する事が出来るようになった。
 構えた自分の姿を鏡で見たんだが、何だか達人ぽくなった気がして気分が良い。
 啓太様々である、悔しい事に……。

 昨日はそれと一緒に『突き方』についても教えてもらったが、これもまた面白いもんで、槍ってのは「腕で突く」んじゃなくて「全身を使って突く」物であるとの事だ。
 実際にやってみて分かったのは、両手の力だけで突こうとすると真っ直ぐ突くのが非常に難しばかりでなく、大した威力を得られないという事。
 真っ直ぐ強力な突きを放つのに腕の力は必要ない、右手は腰骨から胸の高さまでコンパクトに上げるだけ、左手は追従するだけ。
 放つ瞬間までに必要なのは素早い動作と重心移動だけだ、そして突いてからの「()め」を確実に行う事。
 剣道の突きの要領に近い物があるかも知れない、門外漢だから分からんが……。

 兎も角、これだけを守って突くだけでも大分違った。
 もし、持っている得物に刃が付いていたらガキの俺の力でも大人の身体を貫く事が出来るかも知れない。
 そう思えるくらいに……。
 いよいよ俺は物騒なスキルを身に着けたものである。

 しかしまぁ、俺が突く物は敵の心臓ではないので良しとしよう。
 俺がぶち壊すのは敵の魔導師の発しているバリアやシールドといった分厚い魔力の壁だ、それに都合の良い事に魔法には『非殺傷設定』つう便利な機能がある、万が一ウィルのごんぶとな銀の杭が刺さったとしても肉をすりぬけてリンカーコアをぶち抜く程度で済まされるとの事だ。
 でも、リンカーコアをぶち壊したら確実に病院送りとの事なので、やはり注意するに越したことは無いようだな……。


 そんなこんなで俺は特訓開始3日目にして槍の使い方の基礎を覚えるに至った訳で、今後暫く放課後の練習は基礎練習をやりつつウィルを長時間保持出来るよう腕力を鍛える事が目標となる。
 なので、他の要素は授業中の『イメージトレーニング』によって補完となるのだが、これもこれで中々難しい。

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