第9話
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定の間
二人の後を追いかけて評定の間に入ると、先程まで戦っていた知った顔や、さっきまでいなかった素知らぬ顔がちらほらと見え、総勢三十人といったところか。それほどの武将たちがここに詰めていた。
久遠「来たか。竜司、前へ」
竜司「そちらでいいのか?」
久遠「我の夫である貴様が下座に座るな。上段に来い」
竜司「応…」
傍から見ればわからないだろうが、草の報告を聞いていらついているのであろう。
先ほどより重い空気を感じ取った。
何より、時間が惜しいのだろうことがわかり、ここは素直に従っておくことにした。
久遠「では、評定を始める」
俺が腰を下ろしたのを確認したと同時に久遠が評定の開始を宣言する。
その言葉に、下座に座っている武将達が一斉に頭を垂れる。
久遠「まずは状況を整理する。五郎左、言え」
麦穂「はっ。…先程、墨俣の地に出城を築くべく、現地に出向いていた佐久間様の部隊が壊滅。敗走してくるという早馬が到着しました」
和奏「な、なんだってーーーーーーーーーーー!」
雛「いや、そこはそんなに驚くことじゃないでしょー」
犬子「仕合の時に報せが来てたじゃん」
和奏「わ、分かってるよそれくらい!」
壬月「墨俣は長良請願の中洲に位置する…長良の向こうは既に斎藤家の勢力圏なため、築城するのはかなりのこんなんが予想されていたが…」
麦穂「はい、まさかこれほどまでに早く、佐久間様の部隊が壊滅するとは…」
久遠「困難は分かる。しかし美濃攻略のためには、是が非でも墨俣に城を築かねばならん」
壬月「しかし殿…」
久遠「言うな。…蝮から託された美濃を、いつもでもあのうつけの龍興に任せておくなど、許せんことなのだ」
竜司「…」
美濃の蝮:斎藤道三…久遠が正徳寺で謁見した際、「うつけ者」と評されていた久遠が多数の鉄砲を護衛に装備させ正装で訪れたことに大変驚き、斎藤利政は信長を見込むと同時に、家臣の猪子兵助に対して「我が子たちはあのうつけ(信長)の門前に馬をつなぐようになる」と述べた。とされている。
犬子「佐久間のおばちゃんが失敗したってのは良いけどさー。じゃあ次は誰がやるんだろ?」
雛「雛は築城とか、あんまり得意じゃないから無理ー」
和奏「築城、となれば麦穂様の出番だけどなぁ」
久遠「いや、麦穂は出せん。未だ膠着状態である今川や、小うるさい長島にも備えんとならんからな」
和奏「ですよねぇ。じゃあ他に誰が?」
犬子「和奏がやれば?」
和奏「ボクができる訳ないだろー!」
雛「いやそこで威張られてもー…」
墨俣に築城するために警戒するべきは、やはり築城している最中、敵
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