第9話
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あ早速登城するか」
ひよ子「はい!」
俺に続いて、ひよ子も立ち上がる。
そして、お茶の片付けを帰蝶に頼み、俺とひよ子の二人は久遠の屋敷を後にした。
久遠の屋敷を出た俺達は、尾張の城下を歩き、清洲城へと向かっている。
スタスタ歩く俺の二歩後ろをひよが甲斐甲斐しく付いてくる。
竜司「…。もう少し近付いてもいいんだが…ひよ?」
ひよ子「はい…で、でも竜司様はお殿様の旦那様ですし、私なんかが並んでしまうと、竜司様のご身分に障りますし…」
竜司「現段階で、この尾張に住む者が俺のことを知っているのは本のひと握りだろう。見たところ、俺を気にしてこちらを向く民はいないようだし…気にしなくてもいいと思うが…」
ひよ子「あの、お頭は高貴なご身分のお方。私みたいな下々と近しく接するのは、身の穢れとなります…」
竜司「はぁ…あのな、確かに俺は君らとは違う世界から来た。鬼と戦う力…いや、人を殺す力も持っている。だけど、俺は人間、君らと何ら変わりはない」
ひよ子「そ、そんなことありません!竜司様は田楽狭間に降り立った天人とか、弥勒菩薩の生まれ変わりとか、阿弥陀様の再臨とか言われてるんですから!」
竜司「そこまで言われると恥ずかしいな…。それに俺…あまり目立つのは好きじゃないんだよな…まぁ久遠は俺を担ぎ上げる気満々だろうけど…」
ひよ子「だ、だから…その、恐れ多いですぅ。私のようなものがお言葉を交えるのは勿体無く思いますぅ…」
竜司「……参ったな。ひよ?」
ひよ子「ふぇ…?」
思い詰めた表情を浮かべるひよ子に、竜司が向き直す。
そしてこう言う。
竜司「確かに俺は君らとは違うところは多い、出生や力…身分、色んなことで、君は困惑しているんだろうことは見て取れる。けどな。これからは俺と君は仲間なんだ。同じ旗を掲げて、お互いが助け合う仲間。そんな奴に俺は気を使って欲しくはない。それに、俺はこの国ではわからないことがまだまだある。皆に迷惑をかけてしまうかも知れない。なんせ、この辺の仕来りなどは空っきしだ。だから俺には君の助けが必ず必要になってくる。だから俺のことは同じ隊の仲間として、織田家に仕える先輩として、俺を助けて欲しい」
ひよ子「で、でもぉ…」
竜司「これでも俺はひよのことを頼りにしてるんだぞ?」
ひよ子「頼り、ですか?」
竜司「そう。これから久遠を支えていく上で、判断に困ることがきっと出てくる。だからその時は、ひよ。君の力を借りたいと思っている。仲間として…な。」
ひよ子「仲間…そ。それはその、すごくすごく嬉しいって思うんですけど、竜司様はやっぱり、お殿様の旦那様ですし、私にとってはお頭なんです。だから、あの…お頭として、お側近くに仕え
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