暁 〜小説投稿サイト〜
SAO 〜冷厳なる槍使い〜
SAO編
第一章  冒険者生活
1.林檎と少女
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レイアがあたしたちに提案する。
 あたしもそうした方がいいかな、と思ったんだけど、キリュウさんがある一点を見つめていることに気付いた。

「? キリュウさん、どうかしたんですか?」
「……ああ。索敵に反応があった」
「っ!?」

 あたしたち三人は、一瞬驚き、でもすぐに背中合わせになって周囲を見渡した。

「……此処に来て襲撃ッスか」
「確かに、此処は襲い掛かってくるにもいい場所かもね」

 軽口を叩くあたしとチマ。でも、あたしたちの双眸は、油断無く周囲を警戒していた。

「……いや、すまない」
「へ?」

 いきなりキリュウさんが謝ってきた。
 そのせいか思わず気の抜けた声を出してしまった。

「……索敵に反応はあったが、これは敵ではないようだ。……恐らく、NPCだと思う」
「え、NPCですか……」
「モンスターの気配は無いんですね?」
「……ああ。それは間違いないと思う」

 キリュウさんの言葉に、あたしたちは張っていた緊張を解いた。
 だけど、こんな森の中にNPCが居るなんて……。街の中だけにしか居ないと思ってた。

「……気にはなるが、どうする?」

 キリュウさんがあたしたちに訊いてくる。
 でも、あたしの答えは決まっていた。

「もちろんっ、そのNPCの所に行きましょう!」

 なんとなく予感がしてた。危ない〜とかの予感じゃなくて《冒険》の予感が。
 意外と特に反対も無くて、もし敵に囲まれたときのための戦闘布陣(フォーメーション)の打ち合わせをしながら、キリュウさんの案内であたしたちはそのNPCのいる場所へ向かった。




「…………!」

 ほんの十数メートル歩いた所で、先頭を歩くキリュウさんが立ち止まって、あたしたちも止まるようにと片手を上げるジェスチャーをした。そして、樹齢幾年という巨木の陰からキリュウさんの指差す方向を見るあたしたち。

「……あ」

 あたしたちの視線の先には、十歳にも満たないような女の子が一人、一本の木の上の方を見上げていた。
 ライトブラウンの短い髪の毛を頭の両端で結んだような髪型で、黄緑色のワンピースを着ている。
 その女の子は時折、木の周りを回ったり、ぴょんぴょん飛び跳ねたりしている。
 あたしは一応、声を潜めてキリュウさんに訊いた。

「キリュウさん。あの子がNPCなんですか?」
「……よく見てみろ。HPバーの下に【NPC】とある」

 キリュウさんの言うとおり、あの女の子をじっと見ると頭上にカーソルが現れ、そこにあるHPバーの下に確かに【NPC】と書いてあった。
 あたしたちは、周囲にモンスターがいないことを確かめた後、その女の子に近づいた。

「うーん」

 女の子は、近づくあたした
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