SAO編
第一章 冒険者生活
1.林檎と少女
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らに村がありそうかを考えれば、やはり森のほうが可能性は高そうだ」
「そうッスよねー。わざわざ《子鬼の山》なんて所に村を造る人なんて…………居ないッスよね!」
「…………」
チマの台詞に一抹の不安を抱きながら、あたしたちは左の道を進んだ。
そうして五分程歩いて、あたしたちは森の入口に着いた。
「うわぁ……」
森の中に入ったとき、あたし、レイア、チマは口を揃えて全く同じ呟きをしてしまった。
なんていうか、森の中は悪い意味で神秘的だった。
チチチ、と小鳥のさえずる鳴き声が聞こえるのは良いんだけど、森の奥に進むにつれて段々と薄暗くなるのは、御伽噺のそれのようだった。
「如何にも何か出る、って感じッスねぇ……」
普段よりも少しテンションが低いチマがボソッと言う。
何が、とは訊かなくても想像できるけど、確かにチマの感想には同意だった。
「……心配するな。出て来てもモンスターだけだ」
キリュウさんが、何でもないように言いながら先頭を歩き出した。
「クス……確かにそうですね」
「あうー、それを言っちゃあお終いッスよー」
「あはは」
全く動じないキリュウさんを見ると、何故かこっちも怖くなくなってくる。
あたしたち三人は顔を見せ合って笑いながら、キリュウさんの後を付いていった。
森の中に続いている道を歩くあたしたち。
イメージ的には、見渡しの良い街道なんかよりもモンスターとエンカウントする確率が高そうなんだけど、森に入ってから十分程経った現在も、未だモンスターは現れなかった。
「モンスター……来ないですね」
「……ああ」
キリュウさんは、絶えず《索敵》スキルで周囲を警戒してくれているらしい。
キリュウさんは現実の世界でも気配を察することが出来るんだと言っていた。普通なら嘘だーと思っただろうけど、キリュウさんが言うと不思議と本当なんだって思えてしまう。
でも、こちらの世界では使えなくなったと言ってたので、準備期間の間は、冒険の安全の為にもって言って、キリュウさんは《索敵》スキルの熟練度とその扱い方を積極的に上げていた。
そんなキリュウさんの索敵にも、今のところ何も引っかかりもしないらしい。
嵐の前の静けさ的な予感を、あたしたち全員が感じていた。
そんな感じでもう十分程歩くと、ちょっと困ったことになった。
「……道が……無くなってるッスね……」
そう。深い深いこの森で、あたしたちが唯一頼りにしていた土肌の道が、今あたしたちが居る場所で途切れてしまっていた。
周りは深遠に続いているかのような鬱蒼とした暗い森しかない。
「どうしよう。……引き返しましょうか?」
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