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SAO 〜冷厳なる槍使い〜
SAO編
第一章  冒険者生活
1.林檎と少女
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 レイア――美緒とのこういうやり取りは《SAO(ここ)》に来る前から全然変わってない。
 でも、やっぱりSAOでの生活であたしも、そしてレイアも変わった。ううん、変わらなきゃいけなかった。

 この世界を生き抜くには、戦闘でどんなモンスターにも怖がらずに向かっていくようにならなきゃいけなかった。冷静に相手を分析して、キリュウさんに教わった通りの戦い方をする。
 普通ならこんな短時間で戦いに慣れるなんて無理だろうけど、ここが仮想現実だということが皮肉にも助けになった。敵を斬っても血は出ない。敵のHPをゼロにしても死体にならず光になって消えるだけ。そんな現実では有り得ない光景が、あたしたちがあまり抵抗無く戦いを受け入れることが出来た要因だと思う。

 だけど、レイアのことはちょっと心配に思っている。
 一見普通に戦っているように見えても、実は戦う恐怖を押し込めているだけなんだってことはあたしには解る。無理矢理頑張ってるんだということを、ちゃんとあたしは理解している。
 でも、レイアもあたしと同じで、一度こうだと決めたら引かないし、譲らない。
 あたしが、ちゃーんと見守るしかないんだ。
 ……まあキリュウさんも解ってるようだし、チマだって違和感は感じてるみたいだけどね。

「……よぉしっ」

 あたしは、レイアとチマをしっかりと守ることを――守れるくらいに強くなることを改めて決意した。

「? ……どうしたの?」
「あははは〜。ううん、なんでもないよっ」
「おーい。二人ともー」

 つい零れた意気込みの声を笑って誤魔化していると、チマの声が聞こえた。
 そして、あたしたちが来た方向からチマとキリュウさんが現れた。

「……二人とも、無事だな」

 キリュウさんがあたしとレイアに訊いてくる。
 あたしたちは今PTを組んでいるから、メンバーのHPや状態(ステータス)は少しなら離れていても解るんだけど、それでもちゃんと訊いてくれるキリュウさんは解ってるなーって思う。
 あたしはレイアの腕を組んで、元気ですとアピールしながらキリュウさんに言った。

「はいっ! 二人とも無事です!」
「あっ、ちょっとネリー! もう……。はい、特に問題はありませんでした」
「……そうか」

 戦いが終わって、初めて見るモンスターのことをキリュウさんたちに報告して、あたしたちは再び街道に戻った。
 キリュウさんに言われ、一応装備の耐久値を確認。……よし、特に減ってないね。
 こんな感じで街を出てからもう六回ぐらい代わり番こに戦っていた。
 今日までの特訓の成果はちゃんと出ていると思う。
 なんというか、最初にこの世界に来たときに思っていたことが、現実になったみたいだ。

 ――これから……あたしたちのスッゴ
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