暁 〜小説投稿サイト〜
SAO 〜冷厳なる槍使い〜
SAO編
第一章  冒険者生活
1.林檎と少女
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の《ストレイ・ハウンド》にそれを当てはめて見れば、レイアの言うとおり、あの汚い爪と黄ばんだ牙に何か有りそうだなと予測できる。もし他に特殊な攻撃があるんだとしても、あの外見を見る限り口から何かを吐く? ぐらいしか思いつかない。

「……んー、よし。考察完了! あたしから行くね!」

 身を隠してくれていた草むらから飛び出たあたしは、円型盾を前に掲げながら駆け出した。
 後ろから「まだ返事してないよぅっ」という声が聞こえる。
 心の中で苦笑しながらゴメンと言って、あたしは走りながらその犬の動作を見る。
 攻撃的(アクティブ)モンスターだけあって、草むらからあたしが飛び出した瞬間にはこちらに気付いていたようだ。
 犬が、荒い息と共に涎を撒き散らしながら走ってくる。
 一週間前のあたしだったらこんな光景にはすぐにビビッていただろうけど、六日間のキリュウさんとの訓練を積んだあたしには――あの近づくだけでもおぞましい巨大イモムシを一人で倒すことが出来たあたしには、寧ろ単調な動き過ぎて笑いがこみ上げてくる。

「……むむむ、これもあたしの悪い癖の一つだ、なっと!」

 すぐに調子に乗ってしまう自分の悪癖に自分でツッコミながら、飛び掛ってきた犬の顔側面を盾で裏拳をするように当てて受け流す。そしてすぐさま振り返って、着地の衝撃で一瞬硬直している犬へ背後から斬りかかった。

「せーいっ!」

 片手用直剣基本技《スラント》。
 淡い水色のライトエフェクトを纏った剣が、犬の背中に袈裟斬りを食らわせる。
 あたしが今一番得意としているソードスキルがこれだ。同じ片手用直剣基本技の横斬り《ホリゾンタル》や、縦斬り《バーチカル》よりも、姿見で見たときのかっこ良さがあたし的にツボってしまい、一番たくさん練習してしまったのだ。
 あたしの技をモロに受けた犬はそのまま横に弾き飛ばされた。
 ぐるるる、とあたしを睨みながら立ち上がろうとする犬。
 でもそんな犬に追撃してくる人影がいた。

「……やあっ!」

 タイミングを見計らっていたらしいレイアだ。
 レイアは、まだ立ち上がりきっていない犬に向かって、彼女の最も得意とする剣技(ソードスキル)《ホリゾンタル》を放った。
 体勢の整っていなかった所に追撃を受け、犬はきゃうんとその姿には似合わない声を上げて、光に消えた。

「ナイス、コンビプレイ! レイア♪」

 あたしは剣を腰の鞘に収めて、レイアの所に歩きながら右手を上げる。

「ナイス……じゃないよぅ。ちゃんと打ち合わせしてから行ってよ。……ビックリしたんだからね」

 レイアはぶつぶつと文句を言いながらも右手を上げて、パンッとハイタッチをしてくれた。

「あはは。結果オーライ、結果おーらいっ」
「もう……」
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