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戦国異伝
第百五十四話 北ノ庄その九

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 信長は満足している顔でだ、こう諸将に言った。
「ではじゃ」
「ここですな」
「ここに築かれますな」
「うむ、そうする」
 城、それをだというのだ。
「築くぞ」
「では」 
 柴田は笑みを浮かべでそのうえで言ったのだった。
「人を集め」
「うむ、この城のことは御主に任せる」
「それがしにですか」
「そうじゃ、任せる」
 まさにだ、そうするというのだ。
「ここはな」
「それでは」
「それでじゃが」
 さらに言う信長だった。
「加賀にも城を置こうと考えている」
「あの国にもですか」
「城を」
「そうじゃ、相手は上杉謙信じゃ」
 何処までもだった、信長は彼と武田信玄を警戒していた。彼の天下にとって最大の敵の二つだと思っているのだ。
 それ故にだ、用心に用心を重ねてだというのだ。
「毛利にも置くがな」
「姫路ですな」
 羽柴がすかさず言った。
「あの地にですな」
「そうじゃ、播磨のあの地じゃ」
 毛利への備えを置く場はというのだ。
「あそこに置く、そしてじゃ」
「それにですか」
「次は」
「そうじゃ」
 それでだというのだ。
「あの城もじゃが」
「では、ですな」
「播磨にも」
「備えはしておく」
 信長らしく慎重にというのだ、しかも的確に。
「それではな」
「そして越前にも」
「そうじゃ、では今より置く」
 まさにその城をこの地に築くというのだ、そうして。
 その話をしてからだ、信長はさらに言った。
「ではじゃ」
「それではですな」
「そのうえで」
「今は加賀に向かう」
 そうするというのだ。
「わかったな」
「はい、それでは」
「加賀にですな」
「加賀を収める」
 信長は言う。
「わかったな」
「畏まりました」
 家臣達も応えそうしてだった、全員で加賀に向かうのだった。
 そこには松永もいる、松永は信長と共にいた。だがその中でも彼は誰からも信頼されず警戒されていたのだ。
 だが羽柴はだ、その彼のところに来てこう言った。
「弾正殿は茶もお好きでしたな」
「はい、それが何か」
「今度教えて頂きたいのですか」
 右手を頭の後ろにやってだ、羽柴は松永に言うのだ。
「そうして頂きたいのですが」
「茶道ですか」
「どうもそれがしは茶は」
 あまり造詣が深くないというのだ。
「ですから」
「それがしで宜しければ」
 松永は穏やかな笑顔で羽柴に答える。
「是非共」
「おお、それでは」
「はい、しかし羽柴殿もですか」
 松永はその笑顔で羽柴に対していうのだった。
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