第百五十四話 北ノ庄その七
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「放ってはおけぬわ」
「あそこが乱れてはなりませんな」
「決して」
「延暦寺もありましたな」
「あの寺も」
「延暦寺はな」
信長もこの寺について語るうえでは言葉を選んでいた。
「天下を守護する寺じゃ」
「はい、その鬼門を」
「まさに」
「それと共に厄介なことも多い」
それが延暦寺だというのだ。
「僧兵も多く素行の悪い僧侶も多い」
「はい、昔より」
「そうですな」
「だからじゃ」
それでだというのだ。
「わしとしてもな」
「あの寺はですか」
「やがては」
「どうかするつもりじゃった」
天下を治める為にだ、そう考えていたというのだ。
「近いうちにな」
「左様でしたか」
「それでは」
「うむ、最悪爺に兵を与えて抑えをさせてじゃ」
平手に近江に下がらせてそのうえで比叡山を囲ませてそのうえでだというのだ。
「その間にじゃ」
「加賀をですか」
「収めて」
「そうする、とにかくじゃ」
「はい、比叡山もですな」
「あの寺も」
「寺社をどうするか」
そのこともだというのだ。
「政じゃな」
「はい、寺社をどうするかは天下を治める柱です」
「比叡山もまた」
「かつて白河院も仰っていた」
「僧兵はどうにもならぬと」
「そうでしたな」
「鴨川の流れと双六の賽の目とな」
そして比叡山の僧兵達はだったのだ。
「天下の君である院でもじゃ」
「どうにもならなかった」
「そう仰っていましたな」
「わしは賽はせぬ」
そもそも博打自体をしない、信長はそれには興味がないのだ。彼は酒は飲めぬしそうした趣味も持っていないのだ。
「それに鴨川はじゃ」
「今はですな」
「堤を築いておりますな」
「あの頃とは堤が違う」
それが出来るだけの技が備わったのだ。
「だから何とか出来る様になった」
「ですな、そして最後の延暦寺ですな」
「僧兵達ですな」
「そうじゃ、あの者達も何とかする」
抑えるというのだ。
「加賀を抑え摂津を何とかする前にな」
「はい、それでは」
「その様に」
こう話してだった、そのうえで。
信長はまずは加賀との境を抑え柴田達がそれぞれの地を収めるのを待った、越前全土を収めるのはすぐだった。
信長の下に早馬が次々と届く、彼はその馬からの報を見て笑みを浮かべて言った。
「これでよしじゃ」
「はい、それでは」
「今よりですな」
「こちらも早馬を出す」
そしてだとだ、信長は竹中と黒田に告げた。
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