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八条学園怪異譚
第六十話 時計塔その一
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                   第六十話  時計塔
 その日二人は部活まで出た後で一緒に愛実の家に入った、そして愛実の部屋でこれからのことを話した。
 制服を着たままだ、また学校に行くことはもう決めているからだ。その制服姿でそれぞれ座布団に座りながら話す。
 愛実がだ、真剣な面持ちで今は眼鏡をかけている聖花にこう声をかけた。
「じゃあね」
「夜になればね」
「うん、行こうね」
 こう聖花に言うのだった。
「時計塔にね」
「そうね、じゃあその前に」
「御飯を食べて」
 そしてだった。
「お風呂に入って」
「それと寝て」
「今のうちに寝ておこうね」
 すぐに寝られてすぐに起きられる二人の体質がここで幸いした、それで疲れを取ることが容易だからである。英気を養うこともだ。
「そうしようね」
「そうね、それじゃあね」
 聖花は愛実に確かな顔で頷いて答えた。
「今からね」
「御飯はうちで食べていって」
 愛実は自分から提案した。
「そうしようね」
「私もパン持ってるけれど」
 自分の鞄の中にあるというのだ。
「それ食べる?」
「食パンとか?」
「そう、食パンあるけれど」
 お昼かおやつに食べようと思っていたのだ、聖花は自分の家の残りもののパンをよく鞄の中に入れているのだ。
「それもどう?」
「じゃあ晩御飯はね」
「愛実ちゃんのお家の御飯と」
「聖花ちゃんのお店のパンね」
 その二つを食べることになった、そしてだった。
 二人は実際に夕食を食べた、愛実の両親と愛子が一緒だ。愛実の両親は温かい笑顔で聖花に声をかけてきた。
「いやあ、聖花ちゃんを食卓で見るのはな」
「久しぶりかしらね」
「それじゃあ遠慮せずにな」
「食べてね」
「有り難うございます」
 聖花も笑顔で応えてだ、そしてだった。
 愛実の家の夕食をご馳走になる、そこで持っている食パンを出すことも忘れない。そうして夕食を食べてだった。
 愛実にだ、驚いた顔でこう言った。二人は今も隣同士だ。
「愛実ちゃんのお店のカツよね、これ」
「うん、そうよ」
 その通りだとだ、愛実は聖花の問いに笑顔で答える。
「お店の残りだけれどね」
「そうよね、何か前よりも美味しくなってない?」
「実は油を変えたのよ」
「あっ、そうなの」
「そうなの。最近ね」
「それで美味しくなったのね」
「カツってお肉だけじゃないでしょ」
 愛実もそのカツを食べながら話す、カツはチキンカツである。オーソドックスなトンカツとはまた違うものだ。
「衣に油もだから」
「それでその油をなの」
「そうなの、変えたの」
 それで味も変わったというのだ。
「値段は同じでも質のいい油を見つけたから」
「そっちにしたのね」
「そういうこと。やっぱり聖花
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