TURN132 一騎打ちその八
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「精々」
「そうですか」
「そうです、必ず」
ゾルゲは淡々と述べていく。
「そもそも搾取ばかりしてです」
「貴族達の利権になるばかりでエイリスにはあまり入っていませんでしたね」
「その様な支配は終わるしかありません」
「共有主義でも否定していますね」
「カテーリン書記長は今も植民地がお嫌いです」
もっと言えば大嫌いだ、超嫌いと言ってもいい。特権階級が民衆を搾取し苦しめ貪るだけの世界なぞ彼女が最も嫌うものだからだ。
「ですから同じ連合国でしたが」
「やがては、でしたね」
「エイリスを討つつもりでした」
カテーリンはそのことを念頭に置いて戦争を進めていたのだ。
「ですから」
「だからですね」
「どのみちエイリスは倒れる運命なのです」
「誰かに倒されて」
「世界帝国から降りるべきなのです」
「では」
「はい、貴族達の議論は全て録画しました」
携帯でだ、携帯での録画にも気付かない彼等だった。
「これを枢軸諸国の同志達に送りましょう」
「それでは」
こう話してそしてだった、彼等は。
そのうえでだ、ゾルゲはベラルーシにこう言ったのだった。
「それではです」
「議会から出てですね」
「食事にしましょうか」
「私はエイリスの料理は」
ベラルーシは表情を変えない、声を曇らせての言葉だ。
「どうも」
「そうですね、私もエイリスの料理は」
「酷過ぎます」
「ソビエトの給食の味は一定していますが」
「我々はそもそも味は普通でした」
ロシア帝国の頃からだ、ソビエトの家庭料理には定評がある。
だがだ、エイリスはというと。
「しかしこの国は」
「軍人は味には文句を言わないものですが」
ましてや人類社会でも随一のスパイであるゾルゲだ、彼はサバイバル能力に長け何でも食べられる。それこそどんなまずいものでもだ。
しかしその彼がだ、エイリス料理についてはこう言うのだ。
「あれは論外です」
「人類の実験の一つでしょうか」
「何処までまずいものが作られるかですね」
「はい、そうした」
逆の方の実験だというのだ。
「我々にはない発想による」
「エイリスは本当に世界帝国だったのでしょうか」
ベラルーシはこんなことも言った。
「世界帝国ならば世界中を行き来して世界中の味を知りますね」
「そうなります」
「しかし何故味覚は」
「才能でしょうか」
ゾルゲはこうした仮定も立てた。
「エイリス人の」
「エイリス人のですか」
「はい、それでは」
そうではないかというのだ。
「そうも思いますが」
「まずい料理を作る才能ですか」
「そうした才能もあるでしょうか」
こう言うのであった。
「若しかして」
「そこまで至っているのは確かですね」
「とにかくエイリスの
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