TURN132 一騎打ちその六
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「もう少しな」
「もう少しですか」
「その時に話すさ、女王さんにもな」
「ではその時に」
「あと少しだからな」
こう話してだ、イギリスも覚悟を決めていた。
しかし議会、貴族達がいる議会は相変わらずだった。
彼等は議会でだ、こう言っていた。
「ええい、軍は何をしておる!」
「近頃負けっぱなしではないか!」
「オフランスも不甲斐ない!」
「所詮はどの国もエイリスの使用人ではないか!」
彼等から見ればだ、他の国はそんなものだった。
「それで何故やられる!」
「ガメリカも中帝国も初戦は太平洋の田舎者だ!」
「日本なぞ歴史が古いだけのほんの小国だ!」
「そんな連中に何が出来る!」
「共有主義なぞただの空想ではないか」
「ドクツの様な後進の国にも遅れを取っている」
「イタリンはどうでもいいがな」
イタリンについては彼等もこうだ、だがだった。
この状況でもだ、彼等は相変わらずの調子で言うのだった。
「こうなればな」
「うむ、我等の権益の為だ」
「我等の為だ」
「軍には全員死兵となってもらうか」
「そして戦ってもらいだ」
「植民地の全ての奪還だ」
今だにだ、本気でこれが可能だとさえ考えているのだ。
「そしてだな」
「うむ、枢軸諸国には謝罪と賠償だ」
「それを求めなければな」
「我々に害を為したのだ」
「それも当然だ」
「全くだ」
こう言ってだ、彼等はあくまで自分達の利益にこだわるのだった。その彼等を聴聞席、議会のそれで見てだった。
ゾルゲは共に来ていたベラルーシに呆れた口調でこう述べたのだった。
「これではです」
「エイリスは終わりね」
「はい、貴族即ち階級社会の持病ですが」
「特権階級の肥大化ね」
「それが国を腐らせています」
こう共有主義の立場から言うのだった。
「それが証拠にです」
「我々にも気付いていないわね」
「変装はしていますが」
ゾルゲは変装している、髪の色は黒にして下ろしてだ。
そしてそのうえで眼鏡をかけてスーツはグレーだ、ベラルーシも普通の女の服にしてサングラスをかけ髪の毛を上げている。
こうして変装している、しかし二人とりわけゾルゲは連合諸国の中では危険なスパイとして知られている筈なのだ。
だが、だ。貴族達は二人に全く気付かない。それで彼は言うのだった。
「私の素顔は知られている筈ですが」
「私もですね」
「しかしです」
だが、なのだ。貴族の誰もがなのだ。
「本当に気付きませんね」
「若しかしてですが」
ここでだ、こう言ったベラルーシだった。
「私達がここに来る筈がないと思っているのでしょうか」
「ロンドンにですね」
「そして議会にも」
「そうでしょうね」
ゾルゲはベラルーシのその言葉を否定しなかった
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