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三年目の花
6部分:第六章
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。プロでもその活躍が期待された。
 だが彼はプロでは怪我に苦しんだ。椎間板ヘルニアに右肘靭帯断裂。再起不能と誰もが思った。
 しかしその彼が今マウンドに上がっていた。そして投げているのである。神宮の観客は今完全に静まり返っていた。
「頑張れよ」
 誰かが言った。
「荒木、頑張れ!」
「復活したんだ、もう一度その姿を見せてくれ!」
 それは一塁側だけではなかった。
「荒木、とう戻ってきたなあ!」
「投げえや、思う存分打ったるけえのお!」
 彼等も彼等なりに荒木に熱い声援を送っていた。誰もが彼の思いもよらぬ復活に心打たれていた。
 初球はストレート。シュート回転した危ないボールだったが何とか助かった。荒木はホッと胸を撫で下ろした。
「頑張れ荒木!」
「勝て、勝つんだ!」
 ここまでの熱い声援はそうそうなかった。甲子園ですらなかった。彼は今多くの野球を愛する者達の熱い声を背に投げていた。
 ツーストライクスリーボール。泣いても笑ってもあと一球だ。
「さあ、どうする!?」
 古田がサインを出した。荒木が頷く。そしてセットポジションから投げた。
 ボールはフォークだった。それは見事なキレで古田のミットに収まる。

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