第53話 「民の竈は賑わいにけり」
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とでも言うものですが」
と言ってくる。
「選挙権か……」
いつの間にか話があの皇太子になっているな。
しかし皇太子が同盟を占領した場合、いったいどうする気なのか、どうなってしまうのか、どうなると思っているのか、ここは一つじっくりと話し合ってみるべきだろう。
「選挙権そのものは取り上げたりしない筈だ」
「しかし……」
「取り上げる必要性が薄いんだ」
ラップ君がそんな事を言い出す。そして何か言いたげなヤン君を制して、フォーク君に向かって頷いた。ラップ君とフォーク君は、協力して会談の準備をしていたからな。二人で何度も話し合ったのかもしれん。
フォーク君も頷いて、ラップ君の発言を促した。
「どういう事かね?」
ビュコック提督も興味をそそられたらしい。
何度もあごを擦って聞いている。
「仮に占領された場合でも、帝国側が直接統治する訳ではないと愚考します。少なくとも占領当初はワンクッションを必要とする筈です。となると同盟側から交渉対象を選ぶ必要があります」
「なるほど、その交渉対象を選挙で選ばせるわけか」
ホワン君も納得したように頷く。
「しかし同盟側の選挙権を取り上げたりしないという事は、帝国の平民達が不満を持つのでは?」
レベロ君がそんな疑問を発言する。
「帝国の平民は帝国内での選挙権を行使できるでしょう」
「そして同盟市民は同盟内での選挙権を持っています」
ラップ君がまず言い、その後をフォーク君が続ける。
「つまりは帝国同盟ともにお互いに選挙権は持っているが、相手側の選挙には口出しできないという事なのか」
キャゼルヌ君が驚いている。
シトレ君は何事かを考え込んでいた。だがそのままではいずれ、同盟市民から帝国の選挙権を求める声が出てくるだろう。自分達の支配者なのだ。できるだけマシな人物を選びたいと思うのは当然だ。
そこまで考えたとき、ぞくっと背筋に震えが走った。
「……つ、つまり、同盟内での選挙権を取り上げ……」
「帝国内での選挙権を求めたとき、同盟内での選挙権を取り上げるつもりでしょうな」
シトレ君が苦い物を噛んだ様な顔つきで言った。
「しかしどういう建前で、そんな事をするつもりなんだ? 占領当初ならばともかく、ある程度の期間が過ぎてから行えるような事じゃないだろう」
レベロ君が顔を青くさせて言う。
「帝国臣民は同盟内での選挙権を持ってはいない。にもかかわらず、なぜ同盟市民のみが帝国内での選挙権を有する事ができると考えられるのか? 図に乗るな。あの皇太子ならばそう言うだろう」
ロボス君がそう言った際、シトレ君とラップ君、フォーク君も頷いた。
「なるほど、権利も自由も同盟国内であれば、
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