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皇太子殿下はご機嫌ななめ
第53話 「民の竈は賑わいにけり」
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同盟がデフォルトしたからといって、いったいどこが助けてくれるというのか……。

「このままでは同盟は、各星系ごとに分裂し、小国家群となってしまう」

 軍関係者たちの顔色が悪くなったな。
 彼らは軍人なのだ。経済関係に疎くとも致し方あるまいが、これからはそうも言っていられなくなる。

「それはいささか大げさではありませんかな?」

 ビュコック提督があごを擦りつつ発言してきた。
 私はラップ君に向かい頷くと、ラップ君はモニターを操作して、各星系ごとの生産量の分布及び、人口密度を表示させる。
 国民総生産は十年前と比べ、約三十パーセント落ちている。
 そしてその数字は今も下がりっぱなしだ。
 人口に至っては、百五十億いた人間が今では、百三十億人にまで少なくなった。
 無論、これは戦争だけが原因ではない。病気で死んだ者や事故などで亡くなった者も含まれているが、問題はそこではない。出産率も低下している。
 つまり死ぬ人間が多く。生まれてくる者は少ないという事だ。

「帝国よりも生産効率が高いなどと嘯いていられない」

 帝国はいま、高度成長期に入ったと同盟の経済学者たちが、口をそろえて言い出した。
 なによりベビーブームだ。人口増加して、その需要を賄うために生産性が増加の一途を辿りだした。こんな時、国というものは活気があるものだ。あっという間に生産効率などひっくり返される。
 元々技術力は同程度だったのだ。それが非効率的な規制で阻害されてきた。規制が解除されたら、伸び率は帝国の方が高い。
 それを地力というが、はっきり表に出てきた。

「その原因はなにかっ、あの皇太子だ!!」

 ホワン君がそう言ってテーブルを叩く。

「専制国家の長点は、急激な方針変更と国力増大が可能だという点。それを見事に体現している」

 レベロ君がそれを受けて続けた。
 トップの意志が全てに優先する。そう考えれば、今の帝国の優位性が理解できるだろう。
 逆に言えば、あの皇太子さえいなければ、ここまで追い詰められる事はなかった。
 たった一人の人物に、自由惑星同盟が追い詰められている。帝国から見れば名君なのだろうが、同盟から見れば、悪魔……いや魔王としか思えない。

「我々は未曾有の成長期に突入した帝国と争わねばならないのだ。それがどれほど困難なものか、理解できるだろう?」
「元々国力に劣る同盟ですからな。帝国の国力増大は脅威でしかない」

 ロボス君の発言にフォーク君が軽く手を上げて、発言を求めた。

「どうしたのかね?」

 鷹揚にロボス君がフォーク君に視線を向けた。

「宜しいですか?」
「うむ許可しよう。皆さんも宜しいですな?」

 ロボス君は席についている我々に眼を向け、フォーク君に向かっ
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