第六十ニ話
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「リズ、飛んだことないなら先に言ってくれ……」
「ごめん……」
レコンの申し出を受けた俺とリズは、スパイ疑惑のあるシルフがいる場所までレコンに案内してもらうことになったものの、そこで一つだけ問題が生じた。……リズがまだ、まともに空を飛んでいなかったという問題だ。
ALOをプレイし始めてすぐ、先の鍛冶大会に飛び入り参加したために試験飛行をすることもなく、始める前に悠長に説明書を読むような性格でもなかったリズは、飛び方を知らないのだった。そんな有り様で、良くこの調査を手伝うなどと言えたものだが。
幸いにも、リズは補助コントローラーがあれば人並みには飛行が出来たようで、移動するのには問題ないレベルにはすぐに到達した。その飛行の指導役が、ベテランであるにもかかわらず空中戦が苦手な、まだ補助コントローラーを使うレコンと、補助コントローラーは大破し、随意飛行は実戦で学んだ為に速度はともかく微妙なコントロールが出来ない俺、というおおよそ指導役には向かない面子だったが。
そのせいでパーティーのメンバーが、空中戦に不慣れな俺と補助コントローラーの二人、ということになってしまい、空中戦に慣れた相手には何とも相性が悪いこととなっている。
そんなこんなでリズの飛行に対して一悶着あったものの、何とか飛行しながら、そのシルフがいるという《ミスマルカ》近くの巨大な森林公園《ラズルカ》へとたどり着いた。
レプラコーンたちが木材を使うような作業の時に、ここから材料を取るための森であるらしく、結構な数のレプラコーンが狩りをしている。天然の森林地帯であったシルフ領とは趣が違い、道路が舗装されているなど、レプラコーンらしく管理されている森林公園のようだ。
「へぇ……結構良い木材が取れるみたいね」
リズが鍛冶屋の性か辺りをキョロキョロと観察しながら、それぞれのアイテムを値踏みしているのを横目に見つつ、レコンの先導で森林公園《ラズルカ》の入口へと入っていく。モンスターもおらず人も木も多くて、少しぐらい妙なことをしようともバレなさそうなこの森林公園は、レコンの言う密談には恰好の場所であるが……
「レコン、そのシルフの反応っていうのは、細かい位置まで分かるのか?」
「うん。僕の闇魔法なら細かい位置まで分かる……まだレベルは低いんだけど」
ショウキとリズにも慣れてきたのか、口調が素になっているレコンの手元には、補助コントローラーの他には鏡のようなものが握られている。先の対サラマンダー戦でも使った闇魔法の一種らしく、それでシルフの位置と様子が分かるらしい。……それで会話まで聞ければ良かったのだが、レコンの闇魔法はそこまでのレベルではないとのことだ。
「結構、奥の方にいるみたい」
「それはまた……怪しいな」
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